「学生と地域の接点を増やせば、地域に残りたいと思う若者が増えるはず」と話す石山さん

 2012年2月、弘前大学農学生命科学部4年だった石山紗希さん(28)=青森市出身=の元に、1通の封書が届いた。念願の、青年海外協力隊の合格通知だった。「やった! 合格だ」。派遣国は「ガボン」。地図帳を開き、アフリカの赤道直下にある国だと、初めて知った。

 大学では海外に興味を抱き、アルバイトでお金をためて長期休みのたびに旅行した。3年の春休みには、青年海外協力隊としてシリアでリンゴ栽培指導に当たった弘大OBとの縁で、シリアにも行った。そこで現地住民と信頼関係を築きながら活動するOBの姿を見て、協力隊への関心が強くなった。

 多少は就職活動もしたが、思い切って協力隊を志願。2度目の応募で合格できた。

 ガボンには農業指導の名目で派遣されたものの、産油国のため、食料は輸入頼み。「農業局に配属されましたが、同僚は朝から酒を飲んで働かない。何度けんかしたことか」。黙っていても仕事がないので、自ら小学校に出掛け、子どもたちと一緒にコメ作りをしたり、病院に出向いて患者と土を耕したりした。

 2年の活動を終えて帰国。現地では自分のアイデンティティーを意識する場面が日常的にあったことから「青森について考えることが多くなった」。そして「やっぱり青森が好きだ、と再認識しました」。最終的な着地点を青森に定めた。

 そのころ、次世代リーダー育成や起業家支援に取り組むNPO法人「ETIC(エティック).」のことを知った。募集要項に「1~5年働いた後、自分の地域で活動したい人」といった表現があり、3年後に古里に帰る、という自分の思い描く働き方ができそうだと考えた。

 同法人では、地域の企業と首都圏の人材を結び付けるイベントの事務局などを務めた。全国を歩いて数々のまちおこしのモデル事例に触れ、人のネットワークもできた。

 予定通り3年間の「修行」を終え、4月に弘前市にUターンする。これまでの経験を生かし、地域の事業者と若者をつないだり、地場産業振興に一緒に取り組むようなコーディネーター的な役割を担おうと考えている。

 「青森県は面白い人、面白いものが多いのに、県外の人に知られていないのが悔しいし、もったいない。地域を元気にする仕事がしたいです」。明るいまなざしで、きっぱりと宣言した。