5種類ある「レスキュージュース」。それぞれ果物や野菜などさまざまな材料を混ぜ合わせて作っている=青森市の喫茶クレオパトラ

 生野菜、生の果物を使ったジュースを屋台で販売する許可が出ないのはなぜ-との声が、東奥日報紙「あなたの声から『フカボリ』取材班」に寄せられた。調べると、青森県内では食中毒を防ぐため、祭りなどに合わせて臨時に構える店の場合は原則生ものを許可していないものの、県外では状況が異なる場合もあった。

 青森市の50代男性は訴える。「兄がスムージーの店を朝市に出そうとしたが、野菜、果物の現場での加工販売は保健所の許可が下りない。旬の野菜をジュースで飲めたら、お客さまも生産者も喜ぶはず。なぜこのような規制がなされているのか分からない」

 複数の国語辞典によるとスムージーは凍らせた果物に牛乳やヨーグルトを混ぜて作るとされている。ただ実際は多様なやり方、材料で作られ、県南地方に住む依頼者の兄(60代)に聞くと「生の地場産品を使いたい」という。

 生の果実を使った飲み物を提供している青森市の「喫茶クレオパトラ」で作り方を見せてもらった。同店の「レスキュージュース」は5種類あり、それぞれ生のグレープフルーツ、バナナのほか冷凍果実などの素材を機械で混ぜ合わせて作っている。

 できたてのジュースがグラスに注がれた。「手軽においしく栄養を取ってもらいたくて」と高谷晃子店長。口に運ぶと、素材の風味が広がった。

 喫茶店など建物にある固定された店舗では、県内でも、生野菜・果物を使った飲み物を味わえる。県条例の基準を満たし「営業許可」を取った固定店舗が、食品を提供できると決まっている。

 一方、屋台などの場合は別の「臨時営業」の許可が必要になる。行事などに合わせて出店する場合に特例として許可され、固定店舗より簡易な設備でも認められる分、提供直前に加熱調理するものに品目を限ると、県などが「取扱要領」で決めている。県によると臨時営業で生ものを扱うことは少なくとも1955年から認められていない。

 食中毒は肉や魚のイメージが強いが、野菜や果物も無縁ではない。2012年に北海道で発生した腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒は白菜の浅漬けが原因だった。

 県保健衛生課の担当者は「食中毒予防のため、設備が簡易な臨時営業の場合は提供直前の加熱殺菌が大切になる」と理解を求めた。

 ただ、近隣地域を見ると「要領」や「要項」には違いがみられる。岩手県は青森県同様許可していない。北海道、秋田県は、器具を洗浄する特別な設備を設ける条件で、生の果物などを使った飲み物を提供する許可を出している。

 秋田県の担当者は「寄せられた要望にできるだけ沿った形で、食中毒が発生しないよう慎重に検討した上でルールを決めている」と現状を説明した。

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▼県担当者「まずは相談を」

 臨時営業での生ものの提供について、各地で運用に違いが出るのは、食品衛生法により、都道府県が営業許可の基準を決める仕組みになっているためだ。

 どうしてなのか。厚生労働省の担当者は「寒い地方から暑い地方まで事情は異なる。地域の実情に合わせて対応するため」と説明した。

 県保健衛生課によると、実は青森県でも、基準を満たしたプレハブの仮設屋台に固定店舗と同じ営業許可を出した例があるという。この店は生野菜の加工品を提供した。

 同課の担当者は「何でも不許可としているのではなく、基準の中でどうすれば提供できるかをこれまでも話し合っている。まずは相談してほしい」と呼び掛けた。

 ただ、依頼者の兄は記者の取材結果に対し「固定店舗と同じ設備を朝市にそろえるのは、少ない資金で事業をしている個人事業主にとってはハードルが高い」と語った。「全て固定店舗と同じではなく、食中毒を防いで提供するのに必要な条件は何かをはっきりしてくれたらいいのに」

 現状を見ると、朝市への出店は諦めざるを得ないという。「条件が整えばほかにも参入したい人はいるのでは。観光客が地場の果物を搾りたてで味わえたら、地域活性化につながるはず」と強調した。