バーテンダーって知ってる? お酒が飲めないみんなは、あまり聞いたことがないかな。バーテンダーは、お酒やリキュールを混(ま)ぜ合わせ、何十、何百というカクテルを作る人です。
茂内真利子(しげないまりこ)さん(34)は、バーテンダー歴13年。八戸市に「The Bar Rose Garden」を構(かま)え、毎晩(まいばん)、客を笑顔(えがお)にする一杯(いっぱい)を提供(ていきょう)しています。
茂内さんは、創作(そうさく)カクテルで世界一の経験(けいけん)を持つ同市のバーテンダー久保俊之(くぼとしゆき)さんの元で21歳(さい)から修業(しゅぎょう)を始めました。当時、女性(じょせい)でバーテンダーを目指す人は珍(めずら)しかったそうです。最初は、客を迎(むか)え入れ、おしぼりを出し、オーダーを聞く仕事を与(あた)えられ、カクテルを作らせてもらえるようになったのは、一年後でした。
茂内さんを大きく成長させてくれた出来事があります。ある晩(ばん)、カウンターでカクテルを作っていた茂内さんは、客に「女のつくるカクテルは飲みたくない」と言われました。
茂内さんは落ち込(こ)みそうになりましたが、逆(ぎゃく)に、なぜ客がそう言ったのかを考えました。考えていくにつれ、自分が作りたいカクテルを優先(ゆうせん)させていたことに茂内さんは気づきます。楽しみたい、失恋(しつれん)して悲しい、つらいことを忘(わす)れたい…。客は、さまざまな気持ちを抱(かか)えて来店します。茂内さんは「くつろげる雰囲気(ふんいき)をつくることが重要。明日がまたいい日になるように、お客さまに寄(よ)り添(そ)った一杯(いっぱい)を作りたい」と話します。
25歳で独立(どくりつ)、オーナーになってからも精進(しょうじん)を怠(おこた)りません。全国規模(きぼ)の大会に積極的に出場、技術(ぎじゅつ)だけでなく、オリジナルカクテルの研究にも打ち込(こ)みます。努力は実を結び始め、6月、世界一のバーテンダーを決める国内大会に参加、世界大会出場は逃(のが)したものの、2位に輝(かがや)きました。
大人になりかけていたころの茂内さんは、自分を信じきれずにいました。その後、久保さんに出会い「挑戦(ちょうせん)することが成長につながる。努力すれば、夢(ゆめ)はかなう」と言われ、前に進む決心をしたそうです。「自信なんてない。でも、目の前のことに向き合っていこうと思うようになりました」と茂内さん。仲間や客に支(ささ)えられ、茂内さんの挑戦はこれからも続きます。