■ 古本屋さん/“お宝”の本を橋渡し (2014年6月10日掲載)

「本から得られる知識は大切。みなさんもいっぱい読んでね」と呼び掛ける木村さん
 

 普通なら捨てられてしまうような古い本。でも探(さが)している人にとっては、見つけるのが難(むずか)しい“お宝(たから)”です。そんな古本を買い取って、欲(ほ)しい人に橋渡(はしわた)しするのが古本屋さんの仕事です。

 木村拓治(きむらたくはる)さん(31)は22歳(さい)のとき、青森市内で父親が経営(けいえい)する古本屋を手伝い始めました。子どものころから古本に囲まれて育った木村さん。本があまりにも身近すぎたせいか「古本屋になろうと思ったことはなかった」と笑います。

 売っている本は約10万冊。お店には毎日のように、お客さんから本が持ち込(こ)まれます。大量の場合は、引き取りにも出かけます。「行ってみたら、家中が本であふれかえっているようなこともあります」と木村さん。たくさんの重い本を、店まで運んで整理するのは体力勝負です。

 本に値段(ねだん)を付けるのは、古本屋さんの重要な仕事です。新しい本と違(ちが)い、古本には定価(ていか)がありません。一般(いっぱん)に、古い本は新しい本より値段が安くなりますが、欲(ほ)しい人が多かったり、数が少なかったりすると、その分だけ高くなります。元の何倍、何十倍になることもあります。本の価値(かち)や相場などに関する幅(はば)広い知識(ちしき)がなければ、その判断(はんだん)はできません。

 木村さんは「難しくて何年やってもなかなか極(きわ)められない。でも、だからこそこの仕事は面白(おもしろ)い」と言います。本のデータをパソコンに打ち込(こ)んだり、注文を受けた本を発送するなど、地道な作業もたくさんこなします。注文のメールはアメリカや中国、ヨーロッパなど海外からも届きます。

 「『子どものころに好きだった懐(なつ)かしい絵本を、もう一度読んでみたい』というお客さんの要望に応(こた)えてあげたら、とても喜んでくれました」と木村さん。古本屋さんは、本に詰まった大切な思い出を扱(あつか)う仕事でもあるのです。

 木村さんは警備員(けいびいん)や営業(えいぎょう)マンなど、さまざまな仕事をしながら、自分の進むべき道を探(さが)し続けました。数々の経験(けいけん)が、逆(ぎゃく)に自分の家の仕事を見直すことにもつながりました。木村さんは「失敗を恐(おそ)れず、何でもチャレンジしてみることが大事です」と話していました。


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