1119歩
「旬の秋サケを食べて」とPRする山崎翔さん=地図(1)

 「乗っていいよ」。漁師さんたちに声を掛けられ、お言葉に甘えた。山崎敏明さん(71)所有の「第8明光丸」で沖合へ。定置網を起こすと、アオリイカ、ブリなど海の恵みが揚がった。船上にはベテランに交じり、青年の姿も。漁師4年目の山崎翔(かける)さん(22)は父・光晴さん(57)の背を見て網を引き、「魚が取れた時はやりがいを感じる」と目を輝かせた。港に戻った後に向かったのは荷捌(にさばき)所。今年5月に完成した衛生的な新施設には、水揚げされた魚がずらり。翔さんは旬の秋サケを手に「おいしい魚を食べて」とPRした。

 3260歩
自家製だれが評判の焼き鳥店を営む小野さん=地図(2)

 北金ケ沢の中心街通りに出ると、食欲をそそる匂いが漂ってきた。注文があれば開ける隠れた名店「小野焼き鳥店」に看板はなかった。店主の小野セツさん(78)は「もう年だから、あと何年できるかね」と笑いながら、慣れた手付きで串を回していた。焼きたてをいただくと、自家製だれが絶品。タマネギの食感もいい。一杯やりたい衝動に襲われたが、我慢だ。

 4018歩
「日本一の大イチョウ」に散歩に来た銀杏保育園の園児たち=地図(3)

 「日本一の大イチョウ」の案内板に導かれ、シンボルツリーへと向かった。国指定天然記念物「北金ケ沢のイチョウ」は樹齢千年以上。幹回り22メートルはイチョウの木として全国一の太さ。高さも10階建てビルに相当する。黄色い葉はまだ一部だが、何度見ても圧巻の姿。近くの銀杏(ぎんなん)保育園の園児が散歩にやってきた。「私自身、小さい頃からここで遊んだ。地域の人々にとって心のよりどころです」と古川幸仁園長(55)。恒例のライトアップは11月7日から。今年も「ビッグイエロー」が多くの人を楽しませてくれるに違いない。

 5220歩
漁師ら地元客に愛される「加藤食堂」の店主・加藤さん=地図(4)

 通りに戻り、北金ケ沢駅前の「加藤食堂」で満足の一杯を完食した。おすすめの「五目柳麺(らーめん)」は、すっきりと澄んだ鶏だしスープが本格的な味わいで、具だくさんの熱々のあんが細縮れ麺に絡む。冬の漁の最盛期には港へ100食分も出前したことがあるほど、漁師ら地元客に愛されている店だ。冷えた体を温めようと釣り客らも訪れるという。「地域の人たちに支えられてきた」。祖母の代から60年以上続く看板を守る店主の加藤新介さん(59)は、しみじみと語った。

 5934歩
稽古に励む天心館の少年力士と監督の七戸さん(後列左)=地図(5)

 北金ケ沢駅横の踏切を渡り、国道101号下のトンネルを通り坂を上ると、高台の北金ケ沢総合防災センターに出た。隣の建物の中では、まわし姿の子供たちが稽古に励んでいた。安美錦ら4人の関取を生んだ相撲道場「天心館」。監督を務める七戸達也さん(30)も卒業生で、漁師の傍ら指導に当たる。「大相撲に行くような強い力士を育てたい」と七戸さん。主将の八木橋青斗(はると)さん(15)=大戸瀬中3年=は「諦めない気持ちを学んだ。できれば地元に残り、相撲の指導に携わって貢献したい」と力を込めた。

 8315歩
国道101号沿いで目を引く漁師かかし。奥は「漁師のおやつ屋さん&広福丸直売所」=地図(6)

 少年力士に元気をもらいラストスパート。国道101号を鯵ケ沢方面へ。いこいの駐車帯脇で、“漁師かかし”が迎えてくれた。隣接する「漁師のおやつ屋さん&広福丸直売所」を運営する古川広志さん(57)、淑子さん(54)夫妻が若手漁師有志と手作りし、毎年新調しているという。漁船に乗ったインパクト抜群のビジュアルは、ドライバーにはおなじみの存在か。近くの「折曽(おりそ)のイチョウ」と「関の甕(かめ)杉」も拝み、無事ゴールに感謝。大イチョウをはじめ、この地に息づく巨樹・古木が、漁師町の営みを見守っているようだった。