世界自然遺産(いさん)・白神山地ふもとの十二湖で2005年から、ブナ林の調査(ちょうさ)・研究に取り組んできた深浦町の岩崎中が、環境(かんきょう)省の「みどりの日」自然環境功労者(保全=ほぜん=活動部門)として環境大臣表彰(ひょうしょう)を受けました。調査を企画(きかく)し指導(しどう)してきた深浦町役場職員(しょくいん)の神林友広(かんばやしともひろ)さんは「これからも古里の自然を、生徒自らの目でとらえてほしい」と話しています。
白神山地では以前から国などがブナ林の生態(せいたい)調査を実施(じっし)してきましたが専門(せんもん)家が調査の度(たび)に遠方から駆(か)け付けるのは非効率(ひこうりつ)でした。
「住民に古里の自然に興味(きょうみ)を持ってほしい」との声が専門家にあり、調査手法も比較(ひかく)的簡単(かんたん)なため、十二湖の近くにある岩崎中が総合(そうごう)学習の一環(いっかん)として取り組むことにしました。
調査地点は十二湖の一つ、青池から約100メートル南西方向、標高約250メートルの地点で50メートル四方に区切ったブナを主とする森林内です。高さ約130センチの部分の幹(みき)直径が5センチ以上の樹木(じゅもく)の太さ、種類、状態(じょうたい)を調べました。また落ち葉受けを区域(くいき)内に10個(こ)置き、春から11月ごろまで月1回、回収(かいしゅう)し、葉、枝(えだ)、種などを調べ、乾燥(かんそう)重量も測定(そくてい)してきました。
30年を目標に始まった活動は3分の1が終わったばかり。神林さんによると、ブナの大木が日光を遮(さえぎ)るためブナより低いカエデなどが毎年5〜6本(全体の3%程度=ていど=)枯(か)れていることが分かったそうです。ただ新たに生えている木もあります。
本年度、保全活動部門で大臣表彰を受けたのは全国で22個人(こじん)・団体(だんたい)。長尾篤仁(ながおあつひと)校長は「子どもたちがこつこつ取り組んできたことが評価(ひょうか)されてうれしい」、3年生の神馬航平(じんばこうへい)君は「古里の山をあらためてすばらしい存在(そんざい)に感じた」と誇(ほこ)らしげに話しています。