天皇陛下が国内外に即位を宣言される22日の「即位礼正殿の儀」では、世界各国から多くの元首や首脳らが一斉に日本を訪れる。東京五輪パラリンピックでも100人超の要人来日が想定されており、政府や大会組織委員会は、即位礼は「警備や要人接遇の“試金石”」(政府筋)として、経験の蓄積を見込み、準備を進めている。

 「即位礼で何かあれば『東京五輪は大丈夫か』と必ず言われる。安心安全を国内外に示さなければならない」。警戒の最前線に立つ警視庁警備部幹部は即位礼を控え気を引き締める。テロや大規模トラブルの阻止は最重要課題だ。

 別の警備当局幹部は正殿の儀に続くパレード「祝賀御列の儀」と五輪は「いずれもテロのソフトターゲットになり得る」と共通点を指摘した。不特定多数の人が集まり警備が難しい場所のテロ対策は世界的な課題。政府はサイバー空間の情報収集、出入国管理など水際対策に加え、駅や繁華街などの警戒に力を注ぐ。

 来日する要人の接遇や警護も「一大オペレーション」だ。今年は6月に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を皮切りに、8月のアフリカ開発会議(TICAD)、9月開幕のラグビー・ワールドカップ(W杯)と国際的なイベントが続く。今のところ大きなトラブルはないが、即位礼、五輪は注目度が別格なだけに、ひときわ神経を使う。

 即位礼の要人接遇に当たる人員は、外務省を中心に「少なくとも600~700人」(関係者)。ごく短期間に多数の要人を滞りなく受け入れるため、首都高速道路では交通規制が行われ、羽田、成田両空港の一部の便の発着も制限を受ける。五輪の組織委関係者は「来年に向けた知見を得る上でも貴重な機会」と強調した。

 一方、正殿の儀や夜の祝宴は東京都心の皇居・宮殿を会場とするのに対し、五輪・パラは東京都内外に会場があり、期間も来年7月下旬~9月上旬と長丁場。日程に比較的余裕があり、各国の要人が国内各地への訪問を望むことも予想される。警備当局の幹部は「1カ所に集まってくれるならそこに人員を投入すればいいが、分散すると一気に煩雑になる」と、五輪・パラ特有の課題を挙げた。