松尾町長(右)を前に、安堵の色を浮かべる避難所の町民=13日午前7時半、三戸町のアップルドーム

 12日夜から13日朝にかけて青森県に接近した台風19号。県南地方を中心に各地は激しい雨風にさらされ、避難所では大勢の住民が不安な夜を過ごした。13日、道路冠水やリンゴ落果などが一部地域で確認されたが、甚大な被害は免れ「心配していた。大ごとにならず良かった」などと安堵(あんど)する声が聞かれた。

 「昨夜は風の音がすごかった」。八戸市公民館に夫の康友さん(70)と避難した小沢愛子さん(68)が振り返る。

 同市は「速やかな全員避難」を求める警戒レベル4の「避難勧告」を発令。避難所23カ所に駆け付けた市民は一時547人に上った。小沢さんは「家の様子が心配。帰れなくてもどかしい気持ちだった」と心境を語った。

 三戸町の避難所・アップルドームには約40人が身を寄せた。13日朝、松尾和彦町長が訪れ、大きな被害はないと報告。主婦の玉川ノブさん(87)は「1人暮らしで心細く、万一のことを考えてやって来た。目立った被害がなくて何より」と息を吐いた。

 気象庁は13日午前、馬淵川の南部町付近の中流域に警戒レベル4相当の「氾濫危険情報」を発令した。夕方までに解除されたが、八戸市の櫛引橋周辺では、付近住民が増水した川を不安げに見守った。同市の理容業黒沢宣太郎さん(58)は「川べりの野菜畑が浸水した。こんなに増水したのは10年近くない」と驚いた様子だった。

 市内の岸壁には県内外の漁船が台風に備えて係留され、海の様子を見に来る漁業者の姿も。同市のイカ釣り漁船の船頭(60)は「夜通し風が強く心配だったが、何事もなくて良かった」と胸をなで下ろした。

 一方、五戸町の国道4号ではのり面が幅約7メートル、高さ約3メートルにわたって崩落。黒石市では、風で飛んだとみられるビニールハウスが隣接する小屋の上にのるトラブルがあった。青森市浪岡地区では、局地的な強風で収穫期を迎えた多くのリンゴが落果する被害も一部園地で見られた。

 また、東北新幹線は運転再開が大幅に遅れる事態に。新青森駅で列車を待っていた山形県の会社員関康良さん(30)は「台風も土砂流入も仕方がないこと。(夕方になり)運転再開の見通しがある程度ついて良かった」とほっとした表情を見せた。