3月から新しい「夏ダイヤ」で運行している青森市営バス(左)。男性運転手(右)は「過密なダイヤとなっており、大きなストレスを感じている」と訴える

 「3月の改正後、市営バスのダイヤが過密で重圧とストレスを感じている」。東奥日報紙「あなたの声から『フカボリ』取材班」に、青森市営バスの男性運転手からこうした声が寄せられた。取材を進めると、複数の運転手が「路線によって遅れが常態化している」と証言した。運行は乗客の安全第一が前提だが、安全が揺らぎかねないと危ぶむ運転手も。乗客の乗り降りが多い路線では、定時運行が極めて難しいダイヤ設定となっていることが浮き彫りとなった。

 青森市は本年度から新しい試みとして、降雪のため利用者が増える12月~翌年3月にバスを増便する「冬ダイヤ」の導入を決めている。3月25日からは「夏ダイヤ」で運行中だ。市交通部の担当者は「乗客が少ない夏と増える冬でダイヤを調整する。運行実態に即して所要時間を見直し、ダイヤの最適化を図った」と説明する。

 しかし、取材に応じた複数の市営バスの運転手は、一様に「時間通りの運行が難しい」と主張する。

 今の夏ダイヤについて複数の運転手が「全体の所要時間が短くなっているので(ダイヤを守るのが)厳しい」「全く間に合わない停留所がある」「高齢の利用者が多く、乗り降りに時間がかかるという点が考慮されていない」などと不満を述べた。雪がないから運行がスムーズにいくとは単純にならない-と訴える。

 話を総合すると、特に遅れが常態化しているのは青森駅から市南部の横内、幸畑地区を回り青森駅に戻る「横内環状線」。もともと乗客が多く、道路が混雑しがちな路線だ。

 ある運転手は「以前は中間地点で5分程度の余裕があり時間を調整できたが、改正後はほとんど時間通りに運行できない。数十回走行して時間通りに走れたのは2、3回」と明かす。

 昨年度までの時刻表と比べてみた。青森駅を出発し松原・筒井地区を先に通る「右回り」では、中間地点の幸畑団地までの所要時間が日中で7分短縮された。朝方は9分短くなっていたダイヤもあった。

 観光通りを先に通る「左回り」は、昨年は幸畑団地まで日中40分、夜間35分で運行していたのに対し、今年は3~7分短くなっている。運転手にとってはこの数分は大きな重圧になるという。市内を東西に走る浅虫線も見てみると、浅虫温泉駅から新青森東口に向かう急行バス2本は、いずれも16分短くなっていた。運行経路は変わっていない。

 管理者からは、遅れが出ても安全を優先して運行するよう指導されている。しかし、ある運転手は「これで『お客さんの安全が第一』と言われても…」と不満を漏らす。遅れに対する乗客の不満の声は運転手に直接ぶつけられることも多く、心理的負担は少なくない。しかも、ダイヤの改善を現場から「意見できるような雰囲気ではない」(ある運転手)という。

 そもそも目的地までの所要時間短縮のニーズはあるのか。バス利用者の50代女性は「特に望んでいない。時刻表があれば『その時間に着くんだな』と思うだけ」。少なくとも、全ての利用者が望むことではないようだ。

<「過密と言えない」 市交通部>

 青森市営バスでは7月、バスに乗車しようとした車いす利用者に対して、運転手が「ほかの乗客の迷惑になる」と発言したことが問題となった。不適切な対応だったとして、市交通部は対応の改善に向けて職員の研修を行っているほか、車いす利用者から直接意見を聞く機会を継続して設ける方針を示している。

 東奥日報紙に情報を寄せた男性運転手は、同僚の発言の不適切さを認め、車いす利用者に申し訳ない-とした上で「時間通りに運行できないダイヤが背景にあり、多くの乗客の迷惑にならないよう、スムーズに運行させようと出てしまった言葉ではないか」と口にした。

 市交通部管理課の今国弘課長は「労働組合側と労働協約のチェックをして協議しながらダイヤを組んでおり、過密とは言えない。ただ、結果として遅れが出ているなら次のダイヤ改正で直したい」と語った。市は現在、「冬ダイヤ」を組む作業を進めている。