みんなは土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)って聞いたことあるかな? 名前を聞くと難(むずか)しいと思うかもしれませんが、実は誰もがお世話になっています。
日本全国にある土地や建物は、所有者、場所、使用目的など国が細かく帳簿(ちょうぼ)をつけて管理しています。その帳簿に情報を記載することを登記(とうき)と言いますが、土地家屋調査士は登記の専門家(せんもんか)です。また、土地と土地の境界線があいまいな場合に、測量をして境界線を決めるサポートをするのも仕事の一つです。きちんと隣(となり)の家との境界が決まっているのは、土地家屋調査士のおかげなんですね。
小笠原陽(おがさわらあきら)さん(33)は県土地家屋調査士会十和田支部に所属(しょぞく)する土地家屋調査士で、三沢市に事務所(じむしょ)を構(かま)え活躍(かつやく)しています。小笠原さんはこの仕事のやりがいについて、「土地の境界線をめぐってお隣さん同士でトラブルになることがありますが、私(わたし)たちが調査、測量して境界線を導きだすことでトラブルが解決(かいけつ)し、双方(そうほう)から感謝(かんしゃ)された時はとてもうれしいですね」と語ります。
境界線と言っても、実際(じっさい)に線が引いてあるわけではありません。目印となる杭(くい)を埋(う)めたり、鋲(びょう)を打ったりして、そこを起点にして測量し境界線を定めます。「みんなの家の近くの道路や家と家の間をよく見ると、境界標が埋めてあるかもしれません。よく探(さが)して見てね」と話します。
小笠原さんが土地家屋調査士という職業(しょくぎょう)を知ったのは、大学卒業後でした。「大学で測量士補(そくりょうしほ)の資格(しかく)を取得し、その後父が営(いとな)む測量会社で働いていましたが、父に勧(すす)められたのがきっかけでこの仕事に就(つ)きました」。合格率(ごうかくりつ)約8%という難しい国家試験を突破(とっぱ)するため、専門の学校で約1年間、一生懸命(いっしょうけんめい)勉強して合格したそうです。
「土地家屋調査士はあまり知られていない職業ですが、土地管理のための重要な仕事です。細かい数字や書類を扱(あつか)う仕事なので、几帳面(きちょうめん)な人に向いているかもしれませんね」。