「美術(びじゅつ)っておもしろい!」−。平内町(ひらないまち)の小湊(こみなと)中学校で2月21〜25日、県立美術館と共催(きょうさい)の美術展(てん)「中(なか)ハシ克(かつ)シゲ展」が開かれました。展示(てんじ)を考えたのは同中の1年生56人。作品に抱(いだ)いた思いをどんな形で表現(ひょうげん)するか話し合い、自分たちにしかできない“作品”を作り上げました。
現代(げんだい)美術家中ハシ克シゲさんが提供(ていきょう)したのは、2万5千枚(まい)の写真を貼(は)り合わせて旧(きゅう)日本軍の特攻機(とっこうき)「桜花(おうか)」を再現(さいげん)した作品。生徒たちは事前に映像(えいぞう)を見たりポスターをつくったりした後、作品を触(さわ)って重さや大きさを体感し、イメージを膨(ふく)らませました。天井(てんじょう)からつるす、壁(かべ)にたてかけるなどの意見の末に出来上がったのは、「桜花」が教室の窓(まど)を突(つ)き破(やぶ)って墜落(ついらく)する形。尾翼(びよく)は外に出たままで、なぎ倒(たお)された机(つくえ)やいす、紙が床に散らばっています。
実行委員の鳴海翔太(なるみしょうた)君は「中ハシさんの思いや、戦争で命をかけて戦(たたか)った人の思いを墜落の勢(いきお)いで表現(ひょうげん)したかった。出来上がって感動したし、これからは美術作品を見る時も自分の意見を持って向き合いたい」と話しました。小笠原沙綾(おがさわらさや)さんも「全部自分たちでやれたのが楽しかった」と充実(じゅうじつ)した笑顔(えがお)。会場には多くの人が鑑賞(かんしょう)に訪(おとず)れました。
中ハシさんは「ここでしかできない展示で素晴(すば)らしい。頭の中のアイデアを形にして自分の思いを伝えるという、社会生活で一番必要なことを教えてくれるのが美術なんだよ」と生徒たちにアドバイス。1学年主任(しゅにん)で美術担当の高安弘大(たかやすひろとも)先生は「展示を通して生徒たちの表情(ひょうじょう)がどんどん変わっていくのが分かった」と成長を感じていました。