青森県など4道県が申請(しんせい)していた「北海道・北東北の縄文遺跡群(じょうもんいせきぐん)」が、2021年度の世界文化遺産登録を目指す国内推薦(すいせん)候補(こうほ)に選ばれることが確実(かくじつ)になりました。政府(せいふ)は20年2月1日までに国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を提出(ていしゅつ)し、審査(しんさ)が順調に進めば、21年夏ごろに世界遺産として登録されるかどうかが決まります。
人間と自然が共生しながら、狩猟(しゅりょう)・採集(さいしゅう)・漁労を基盤(きばん)として、長期間にわたり定住生活を発展(はってん)・成熟(せいじゅく)させたところに世界に類を見ない特色があります。他地域(たちいき)に与(あた)えた影響(えいきょう)も大きく、縄文文化を代表する地域と言えます。 縄文遺跡群を構成(こうせい)するのは青森県、北海道、岩手県、秋田県の17遺跡。数多くの出土品や住居跡(じゅうきょあと)、貝塚(かいづか)などからは、1万年以上続いた縄文時代の暮(く)らしぶりが浮(う)かんでくるようです。
本年度の国内推薦が確実となり、遺跡の保存(ほぞん)・発信に取り組んできた県内の関係者たちは喜び合いました。
青森市の三内丸山遺跡でガイドなどを行う「三内丸山応援隊(おうえんたい)」の一町田工(いっちょうだたくみ)代表理事は「絶対(ぜったい)世界遺産候補になると信じて、この1年頑張(がんば)ってきた」と満面の笑(え)み。つがる市の亀ケ岡石器時代遺跡と田小屋野(たごやの)貝塚のPR活動などを行う「NPO法人つがる縄文の会」の川嶋(かわしま)大史(だいじ)理事長は「推薦決定を機に縄文をキーワードにした街づくりをすすめ、県内外にアピールしたい」と話しました。
八戸市の是川石器時代遺跡のガイドなどを担当している「縄文是川ボランティア」の山地(やまち)實(みのる)代表は「この時を待っていた。是川縄文館や遺跡を支(ささ)える団体(だんたい)の一人として、とれもうれしい」と喜びました。
<世界遺産とは> 文化遺産(いさん)および自然遺産を人類共通の“宝(たから)”として保護(ほご)・保存(ほぞん)することを目的に、ユネスコが登録します。遺跡(いせき)などの文化遺産、貴重(きちょう)な生態系(せいたいけい)などの自然遺産、文化と自然の要素(ようそ)を併(あわ)せ持つ複合(ふくごう)遺産の3分野があり、現在(げんざい)1121件(けん)が登録されています。日本は1993年に青森県と秋田県にまたがる「白神山地」など4遺産が登録されたのが最初。今年7月6日には「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群(こふんぐん)」(大阪)が登録され、全部で23件になりました 。