156歩
「もの作りで地元に貢献したい」と手作りの手振り鉦を持つ小野さん=地図(1)

 歩き始めて間もなく、以前取材で知り合った小野隆司さん(53)が経営する小野商会に到着。建築板金工事のほか、家庭金物販売などを手掛けている。この日は残念ながら小野さんが不在。後日改めて話を聞くと、小野さんは厚生労働省認定の熟練技能者「ものづくりマイスター」で、祭りで使われる手作りの手振り鉦(がね)は昨年度、技能を駆使した付加価値の高い製品であることを示す「グッドスキルマーク」表示が同省に認められた。創業は1932年。3代目となる小野さんは「もっといいものを作り、ものづくりで地元に貢献していきたい」と力強い一言。

 533歩
津軽七福神霊場の御朱印帳を持つ工藤さん=地図(2)

 散策の安全を祈願しようと、近くの愛宕山地蔵院に立ち寄った。参拝中に会ったのは地方公務員工藤敏弘さん(55)=つがる市。数年前から御朱印集めが趣味で、同地蔵院が津軽七福神霊場の恵比須天の札所になっているため両親と訪れたという。「ゆっくりいろんな所をまわって集められるから楽しいよ」。筆者の故郷、深浦町・円覚寺の御朱印も持っており、あれやこれやと会話が弾んだ。

 2261歩
大人気のやきそばを手に中村良子さんは「まだまだ頑張るよ」=地図(3)

 腹ごしらえをしようと、ひたすら東へ向かって歩くこと15分で「黒石やきそば」の看板が。マルタ中村商店に入ると、中村良子さん(75)が愛嬌(あいきょう)よく出迎えてくれた。唐揚げや炒め物、サラダなど総菜がずらりと並ぶが、やはり1番人気は焼きそば。大パック250円、小パック150円の格安でおいしいとあって、市内外から客が来る。

 代表の俊悦さん(76)によると、ラード不使用のため冷めてもおいしく、具材はタマネギのみとシンプルな味が好評だ。1パック買うと「そこの椅子で食べていいよ」と良子さん。お言葉に甘え?張ると、だしの効いたソースが太麺に絡みうまい。良子さんは「お客さんとの会話が楽しい。腰が痛いけどまだ頑張るよ」と笑顔。帰り際に「これ持っていって」と冷えたお茶をくれた。腹も心もたっぷり満たされ、今度は北に歩みを進めた。

 4601歩
バーベキューを楽しむ(左から)乗田嘉栄さん、一珂ちゃん、二琥ちゃん=地図(4)

 リンゴ畑や田んぼを越え住宅街を歩いていると「ジュージュー」といい音とともに肉の香り。不審者と間違われないよう祈りながらブルーシートからのぞき込み声を掛けると、会社員乗田嘉栄さん(56)夫婦と娘夫婦、お孫さんがバーベキュー中だった。快く中に入れてくれて助かった。

 孫の工藤一珂(いちか)ちゃん(4)は「お肉おいしい」、隣で二琥(にこ)ちゃん(2)も満面の笑み。嘉栄さんも「孫がいるからとてもうまい」とにっこり。「食べていかない?」との誘いに心が揺らいだが、まだ歩かなければ-と伝えると大粒のサクランボをくれた。もらってばかりですいません。

 5906歩
粒あんがたっぷり入った大判焼きを作る舘山代表=地図(5)

 静かな住宅街から八間道路に出てくると「大判焼き小判」が目に付いた。昨年10月にオープンし、粒あんやクリームなどがたっぷり入った数種類の大判焼きが63円から楽しめる。「単価を安くし、みなさんにたくさん食べてほしい」と語る舘山朋佳代表(30)。粒あん20個を購入した藤崎町の会社員男性(52)は「酒を飲みながらのあんこがうまい。体に良くないと分かってるけどやめられない」と苦笑いで店を後にした。

 ものづくり技術、歴史、地区住民の優しさに触れ、黒石をより身近に感じられる散歩だった。次はどこに行こうかな。