「実は青森県は不思議現象の宝庫でもある」という石橋さん=横浜市

 近著「昭和平成超B級オカルトクロニクル」では、新郷村のキリストの墓や田子町の牛失血死事件など県内の「不思議」を多数取り上げた。八戸市出身のフリーライター石橋春海さん=横浜市在住=の名刺には「少年向け映画・テレビ映画、映画音楽などを研究しています」とあるものの、執筆のジャンルは幅広い。

 中でも昭和30~40年代の少年向けテレビ番組についてまとめたムックは多数。番組制作の裏話など深い取材に驚く。「2013年に初めて出版すると、この時代の子ども向け番組にスポットを当てた初めての本と評された」。このジャンルのニーズを掘り起こした。

 執筆の原動力は、八戸で過ごした少年時代という。「実は病気で2年ほど小学校に通えない時期があり、家族が買ってくれたテレビにさみしい心が向いた。正義の味方が悪人をやっつける場面に喝采を送った」。この思いが、自分でシナリオを書き、子どもたちが夢中になる映画をつくりたいという夢に膨らんだ。

 東京の映画系専門学校に進み、弘前大学の前身・旧制弘前高校出身の鈴木清順監督らに師事。職業として映画の企画づくりにも携わったが、30歳ごろに雑誌記事のライターに転身、映画やドラマの仕事を外から見つめるようになった。「主役を演じた後、表舞台から姿を消した俳優を追う企画を雑誌に持ち込んだりした」。記事は人々の興味を引き、後のムック出版にもつながった。

 流行歌の造詣も深い。さまざまな事情で放送禁止となった「封印歌謡」とその理由を掘り下げた書籍を2冊出版。うち1冊には、歌い手が事件を起こしたことで流されなくなった楽曲のCDを付けた。「その歌手本人と付き合いを重ね、本人の歌唱で新録した」という力作は話題を呼んだ。

 ドラマのムック、「封印歌謡」本、オカルト本-。どの著書にも、取材対象へ向けた愛情が強く脈打つ。「特撮ライターみたいに言われることもあるが、僕自身は歴史書と思って書いている」

 石橋さんは、青森県で晩年を過ごした作家・作詞家の川内康範氏の研究家という肩書も持つ。川内氏が手掛け、61年前にテレビ放送が始まったドラマ「月光仮面」の解説本企画・執筆が今の関心事だ。「川内さんには随分取材をさせてもらった。いつか彼の生涯をまとめたい」