394歩
夫婦で14-54カフェを営む中野渡卓也さん(左)と妻の実知さん=地図(1)

 午後1時すぎに支局を出発。まずは腹ごしらえといこうか。イベントやワークショップの取材で訪れる機会も多い、元書店を改装したまちなか交流スペース「14-54」(いちよんごーよん)内のカフェに。

 カフェを経営する中野渡卓也さん(27)=青森市出身=と妻の実知さん(27)=弘前市出身=がいつもの笑顔で迎えてくれた。ゴボウが入った十和田らしいホットサンドとコーヒーのセットを注文。

 「ここは開放的。近所のおばあちゃんが卓球をしに来たり、子どもさんを一緒に連れてきてママ友同士でおしゃべりしていたり」と卓也さん。実知さんも「知り合いがどんどん増えた。ここに来れば誰かに会えるとみんな集まってくる」。

 717歩
「少しずつでも作品を作り続けたい」と話す赤坂さん=地図(2)

 看板を見て、いつも気になっていた店があるので入ってみた。その名は「手づくりレザーショップアカサカ」。店主は赤坂陽子さん(79)。ことしで開業37年目になるという。

 赤坂さんが、革の表面に切り込みや刻印を入れ模様を描くカービングの技法で作ったバッグや財布、変わりダネではゴルフバッグなどを展示販売。加工用の革素材や染料も扱う。

 「年を取り、新しいものはなかなか作れない。70歳でやめようかとも思ったんだけど、好きなことをやってきたんだし、80歳になったら80歳の私の仕事があるかなと、今は思える」

 1075歩
実験的な試みとして期間限定で「くとうてん」を開く吉田千枝子さん=地図(3)

 4月下旬、西二番町の空き家に不思議な垂れ幕がかかった。実地調査だ。

 聞けばデザイナーの吉田進さん(43)と、ライターの妻・千枝子さん(43)のユニット「字と図」が1年限定で空き家を借り上げ、クラフト作家の作品を展示販売するギャラリー「くとうてん」をオープン。預かった手紙を気まぐれに届ける「時々郵便局」も“開局”している。

 千枝子さんによると、知人の建築家夫婦がライフワークとして始めた市内の空き家調査がきっかけとなり、「自分たちの広告も兼ねて、楽しいことがしたい」と始めた実験的な試み。「十和田には何もないからつまらない、と言うのは簡単。できる範囲で楽しくしたい」と千枝子さん。

 1255歩
「こうじの良さを広めたい」と話す三浦さん=地図(4)

 近くに「こうじアイス」が食べられる店があったはず。明治時代から続く老舗の「まる二麹(こうじ)味噌店」の店先にはそれらしき「甘酒アイス」の張り紙が。お一つ、ください!

 「アイスと言っても、ただ甘酒を凍らせただけ。うちは防腐剤とか一切入れない。麹が生きてるからすぐ味が変わるから」と3代目の三浦理(さとる)さん(63)。自然な甘さがなんともいい。少し温めて食べると、コクも楽しめるという。

 店内には「サケの飯すし」「白菜の麹漬け」などのレシピが張ってある。「体にいいもの。もっと麹を広めたい」と三浦さん。

 3653歩
十和田市役所新庁舎を初めて訪れた笹森さん=地図(5)

 ゴールは1日に開庁したばかりの十和田市役所新庁舎と決めていた。腹ごなしにぐるりと遠回り。十和田おいらせ農協本店側から官庁街通りに戻る。

 新庁舎を初めて訪れた笹森茂さん(57)は「よその街に誇れるような立派な役所ができた」。でも、「街は潤っていないかな」とも。

 笹森さんはこれまでのキャリアを生かし、近く市内で不動産会社を立ち上げる予定。「建売住宅販売メインでやりたい」と意気込みを語ってくれた。

 令和元年。時代の変わり目とともに、新市庁舎は業務を開始。この街とともに新たな歴史を刻み始めた。新たな歩みを始めた人に出会えた小さな旅だった。