青森市出身の版画家・関野凖一郎の大ファンだという福田さん。学部長室にも作品を飾っている

 東京都世田谷区にある日本大学の三軒茶屋キャンパス。八戸市出身の福田弥夫(やすお)教授(58)=西東京市在住=は、本年度開設した危機管理学部(入学定員300人)の初代学部長を務めている。

 危機管理に特化した学部は、文系では国内初。現代社会が抱えるさまざまなリスクを(1)災害(自然災害や大規模事故)(2)パブリック(犯罪、テロ)(3)グローバル(国際紛争、環境、難民問題)(4)情報(サイバー攻撃、個人情報や知的財産の保護)の四つに分類した。

 教員には法務・国土交通・警察・防衛などのOBがおり、理論と実践のバランスが取れたプログラムを展開している。自治体や地域住民の関心も高い。真新しい校舎を近隣町会の防災訓練に活用したほか、一部の学生は地域の消防団に団員登録している。

 「阪神・淡路大震災や東日本大震災に続く首都直下型地震は、『起きるか起きないか』ではなく『いつ起きるか』が焦点となっている。危機管理は、縦割り組織ではできない。いろんな団体の横の連携が大事です」

 自身の専門は法学(商法、保険法)で日本保険学会理事長でもある。保険は危機管理の柱ということもあり、大学執行部(理事長は五所川原市出身の田中英壽(ひでとし)氏)から学部長就任を依頼された。

 少子化が進み、どの大学も学生獲得に懸命だ。「危機管理について、今はうちが先行していても、いずれ他大学が追随してくるでしょう。常に新しい教育内容への目配りが必要です。出口(学生の就職率)での成果も求められますから」

 八戸高校時代、刑事裁判に興味を持ち弁護士を目指したのが、法律とかかわるきっかけになった。また、アイスホッケー選手・指導者として、チームワークの大切さを身をもって学んだという。

 昨今、ともすれば理系学部がもてはやされる傾向があるが…。「短期間で結果を求められる風潮がありますが、基礎的な理論を身に付けず、上っ面の現象を追い掛けていたら、新たな危機には対応できない。百年先、千年先を見据えて人間の生き方や社会の在り方などを学ぶ社会科学は、とても大切です」と力を込めた。