「頑張っている古里の若者を応援していきたい」と話す河野さん=「下北半島交流ショップ むつ下北」(東京都江東区亀戸)

 JR亀戸駅(東京都江東区)から歩いて10分弱。亀戸香取神社の参道沿いに約30の店が立ち並ぶ。その一角にアンテナショップ「下北半島交流ショップ むつ下北」がある。

 「以前は青森物産ショップと名乗っていましたが、下北をより打ち出そうと思って」。店主の河野崇章(たかあき)さん(62)=むつ市出身=が、そう言いながら出迎えてくれた。

 こぢんまりとした店内には下北関連のポスターがずらり。扱う商品は県内一円にわたり、下北名産アピオスをはじめ、シジミのみそ汁、サバ缶、干しリンゴなどが人気だ。「県出身者や地元住民の交流の場になれば」と、金~日曜・祝日は店内でバーも営業する。2席限定の小さなバーだ。

 出店は2011年3月。都内の広告企画会社に勤めていたが「人に感謝される仕事がしたい」と51歳で退職。両親の介護のために東京とむつ市を行き来する中で、人口減、農業の担い手不足などの課題を目の当たりにした。「古里のために何かしたいという思いがふつふつとわいてきた」

 折しも、亀戸の町おこしを手掛けていた旧知の関係者から出店を打診された。前後して弟・紹視(つぐみ)さん(60)が県内の百貨店を退職し、むつ市でアピオス栽培に取り組み始めた。彼の人脈や同市の知人から協力が得られ、都や江東区の補助金を活用して開店にこぎ着けた。

 「最近力を入れているのは、県産食材の販路を見つけ、生産者と需要者側をつなぐ仕事」。13年、ニューヨークに本店があり首都圏に6店舗展開するレストラン「バビーズ」から、アップルパイ用のリンゴを安定供給してほしい、と打診された。南部町のNPO法人・青森なんぶの達者村に何度も通い、バビーズのオーナーを園地にも案内。年間30トンを取引するまでになった。

 地元の老舗料亭「亀戸升本」からは、江戸東京野菜・亀戸大根を冷涼な青森県で夏場に生産できないか依頼された。各地で試験栽培し、これも南部町の農家と契約が成立した。

 「いろいろな課題に直面するけれど、生産者と一緒に考え、成果が出るとうれしい。彼らが喜んでくれるのが一番の支え」。これからも亀戸と青森をつなぐ役割を担っていきたい-。そう穏やかに語った。