笑顔で声を張り上げ、商店街イベントをPRする永田美香さん=5月27日、JR西荻窪駅前(東京都杉並区)

 「ハロー西荻でございます。今年もやってまいりました。西荻の隅から隅まで、ごゆっくりと楽しんでください!」

 5月下旬の、よく晴れ上がった週末。東京・杉並区、JR中央線西荻窪駅の南北に広がる商店街に、張りのある声が響き渡った。

 永田美香さん(49)=台東区=は八戸市出身。黄色と紫のあでやかな和服にカツラ、濃いめのメーク、傘が付いた大小の太鼓にチラシ-。県内ではまず見かけることがなくなった伝統的スタイルの永田さんを先頭に、チンドン芸能社のメンバーが住民たちに明るく声を掛けながら町を練り歩いた。「ハロー西荻」は今年で28回を数える商店街イベント。その“盛り上げ大使”を20年務めている。

 八戸工大二高では演劇部員だった。22才で上京し、会社勤めをしていたが、やがてできた友人の一人が永田さんの人生を大きく変えた。

 チンドン屋で楽器を演奏していたその友人から、チラシまきを手伝ってと誘われ、「面白そうだったので行ってみたらもう、すぐに魅力にとりつかれて」と永田さん。その魅力について、「チンドン屋っていきなり町に現れて、つまんなそうな顔をしている人をも一気に明るくする。まるで町に色を着けていくみたい」と語る。

 すぐに会社を辞め、25歳で弟子入りした。2007年に同業の永田久さんと結婚し、「チンドン芸能社」を設立。チーム「美香」は今年4月、富山桜まつりのメインイベントとして毎年、富山市で行われる「全日本チンドンコンクール」で3年連続の日本一に輝いた。

 現在はイベントやアトラクション、街頭宣伝を年間200~250回こなすという。

 「自分はやはり北国の人間だなと思うことがある。例えば太鼓の音にしても、えんぶりの太鼓は、雪の降っている寒い中で鳴らすので、ボコッボコッと低く沈んだ音がする。そういう音が好き」

 今後については「自分がこれから先、どういうチンドン屋になっていきたいのか見直すためにも、もっと地元の音を聴いたり、芸能を見たりしたい。そしていつか、地元八戸の施設を回ってお年寄りの方々を楽しませたい。それが今の夢です」と笑顔を見せた。