「弘前でピアノを楽しんだ時期が今に生きている」と話す堀内さん

 「どんな音が出るか可能性は無限大。自分の音をどこまでも追求したい」。弘前市出身の堀内亮さん(38)=埼玉県新座市在住=は、国内外で活躍するピアニスト。日々演奏する喜びを感じながら、進化を続けている。

 母の育子さんが武蔵野音楽大学(東京都練馬区)出身のピアノ講師であることから、物心つく前からピアノが身近にあった。「弾きたい曲を好きなように弾いていた」と楽しみながら鍵盤に親しんだ。

 人前で演奏する喜びを知ったのは弘前大学付属中学校時代。友人たちからリクエストを受け、音楽室のピアノでショパンの「革命」「英雄ポロネーズ」などをよく弾いたという。もっと多くの曲を弾きたい-という思いが募り、弘前高校2年生のころ、母と同じ武蔵野音大に進むことを決意した。

 同大では坂井玲子名誉教授の指導を受けた。息継ぎ、呼吸法、腰回りの筋肉の使い方…。「基礎の基礎から、厳しく体にたたき込まれました」

 同大大学院修了後の2003年、イタリアに渡り、05年にサンタチェチーリア音楽院を首席で卒業。フランスのメリニャック国際コンクールで1位を獲得するなど実績を残し、12年に帰国した。イタリア時代の教官だったマリレーヌ・モウケ氏は、堀内さんの素質を「芸術家として強靱(きょうじん)で、洗練されていて、人間的に豊か。細部に至る分析力がある」と高く評価している。

 音楽家としての感受性は、故郷で過ごした少年時代に育まれたという。「夜、雪の中をざっざっざっと歩く感じは、多くの音楽家を輩出したヨーロッパやロシアに通じる。ロシア出身のラフマニノフやスクリャービンの曲に強く共感するのは、自分が北国の出身だからだと思う」

 21日には東京都港区でのソロリサイタルを控える。都内では約2年ぶりのステージ。スクリャービン、ブゾーニらの曲のほか、特に思い入れの強いラフマニノフの前奏曲集も披露する。「ラフマニノフの中に感じるのは、どんなにつらい状況でも人間が持ちうる心の強さと美しさ。自分の演奏でそれを伝えられれば」と意気込む。