美濃焼や津軽塗(紋紗塗)の弁当箱を示して「日本のお弁当箱は素材、デザインとも素晴らしい」と語る野上さん。昨年11月には新著(右下)も

 昨年、テレビ番組「マツコの知らない世界」に2度出演。肩の力を抜いた弁当作りの極意を披露して、全国の視聴者の共感を呼んだ。七戸町生まれ青森市育ちの料理家・野上優佳子さん(43)=杉並区在住=は、人呼んで「お弁当のスペシャリスト」。

 番組出演に当たって心掛けたのは、自分の料理の腕自慢をするのではなく、日々の弁当作りを苦痛に感じる人たちの気持ちが少しでも和らぐような提案をすること。食材の組み合わせ、発想の転換でメニューの幅は広がることを説明した。

 「例えば卵焼きだったら、中身を変えれば5種類作れます。一つの料理だけど月曜から金曜まで5日分のおかずになる。しかも、毎日作ると料理の腕も上がります。同じように、空揚げも3種類紹介しました」

 弁当の魅力についての解説が楽しい。「お弁当箱って非常に優秀なパッケージだと思うんです。中にどんな料理を入れてもお弁当として成立する。何事もフレーム(枠)をしっかり作ると、中身の価値を伝えやすくなる」

 「それにお弁当って『モバイル(持ち運べる)食卓』ですよね。いつどんな場所であっても、広げた途端、自分の家に帰って食事している感じになる」

 青森高校を卒業して都内の大学に在学中、フリーライターに。ネットメディアの編集を手掛けるうち、暮らしや料理の専門家になった。経済新聞に4年間コラムを掲載。世界の郷土料理を紹介するテレビ番組も担当した。

 中学時代から始まった弁当作りは、2女1男の母となった今も日常の一コマ。苦痛に感じたことはないという。「その日、冷蔵庫にある食材の組み合わせで何を作るか。一発勝負。パズルゲームみたいで楽しいですよ」

祖母が伝えた郷土の味

 「私の食文化のベースは8~9割が青森県にある」と野上さん。中里町(現・中泊町)に住んでいた父方の祖母のところへ遊びに行くたび、たくさんの郷土料理を教わったという。シソで色付けした赤めし、けのしる、若生コンブのおむすび、がっくら漬け…。「祖母は亡くなりましたが、煮しめなどをこしらえていた姿、懐かしく思い出します」