「幅の広い役者になりたい」と将来の抱負を語る中橋さん=東京・浜松町

 劇団四季のミュージカル「ガンバの大冒険」は、団結と未来への挑戦をテーマに、ネズミたちが宿敵イタチと戦う物語。催眠術を操るイタチの親分ノロイを演じるのが青森市出身の中橋耕平さん=横浜市在住=だ。パンクロッカーのような派手な衣装とメーク、憎まれ役だが不思議な存在感も漂う。

 ステージは真剣勝負の連続。共演者の受け答えや息遣いに機敏に対応して作品を創り上げる。「入団前は役をうまく演じてやろうと思っていた。でも、そういう演技はウソっぽくなる。逆なんです。まず、その役として『居る(存在する)』。すると(俳優の内側にいる)その役が自然体で動きだしてくれる」

 高校時代、本県で全国高校総合文化祭が開かれ、総合開会式の創作劇「新・走れメロス」で太宰治の役を演じた。同じころ、劇団四季の「クレイジー・フォー・ユー」青森公演を見て、プロの迫力に圧倒された。

 「見終わった時、『この道(舞台)を行く』と直感した。もともと自分の声を生かした仕事に就きたいと思っていたんです」

 目標実現のために音楽大学に進み声楽を学ぶ。2009年に劇団四季の研究所入所。これまで「サウンド・オブ・ミュージック」「リトルマーメイド」などに出演してきた。

 2011年の東日本大震災後、被災地を巡回した「ユタと不思議な仲間たち」(作・三浦哲郎)にも参加した。津波が奪い去ったたくさんの命。つらい記憶を抱えながら生き続ける人たちとキャストが終演後に握手し、言葉を交わした。

 「私たちも全身全霊で演じました。お客さまに『感動した』『涙が出た』『私も生きてていいんですね』などと言っていただけて、この仕事をやっていて良かったと心の底から思いました」と振り返る。

 「ガンバの大冒険」は、関東の学校招待公演を経て、23日から自由劇場(東京・浜松町)での一般公開が始まる。全国公演も含め12月までの長丁場。時折、青森の実家から送ってもらう「ヒバ入浴剤」の風呂でリフレッシュし、大好きな「青森煮干しラーメン」を味わって英気を養っているという。