弘前大東京事務所のURAとして産学連携に奔走している渡部さん

 弘前大学が東京・西新橋に事務所を開設して11月で2年となる。同事務所のリサーチ・アドミニストレーター(URA)として首都圏企業と学内研究との橋渡しに当たっているのが渡部雄太特任助教(35)=神奈川県在住。すでに2企業との共同研究が始まるなど動きが出てきており、「地元だけでは企業が少なく(連携が)難しかった研究に、東京から新しい風を吹き込み、花を咲かせたい」と情熱を燃やす。

 URAは学内研究の中から産学連携の糸口を見つけ、企業とコーディネートし、外部研究費を獲得するなどして研究者を支えていく専門職だ。弘前大には現在7人のURAがいるが、東京は渡部さん1人。弘前に行った際はさまざまな研究室に顔を出し、企業が興味を持ちそうなシーズ(事業化の種)がないか探る一方、東京では中小企業団体や官庁を回って情報を集める。

 キャンパスが都会から遠いため、研究者が企業側と頻繁に会えない-など地方ならではの課題があるが、「その“距離”を埋めるのが私の仕事」と語る。  埼玉県出身。大学院修了後、東海大学に入職し担当したのが産学連携。医薬系を軸にコーディネートに当たっていた時、弘前大の募集を知り「地方と首都圏をつなぐのも面白そう」と門をたたいた。

 昨年6月に東京事務所に入って以降、東京や関西の企業との共同研究にこぎ着けた。いずれも農学系。医学系の産学連携が脚光を浴びる弘前大だが、「研究のフィールドが農場や地元農家とつながっているので、農学系もアピールしやすい」と語り、幅広い分野のPRに意欲を示す。

 父が福島県、母が岩手県出身のため東北には縁があり、子供のころも何度か本県を訪れた。「東北を元気にする仕事に携われることは、やりがいを感じる。プライベートでは青森の雪山でスノーボードと温泉を楽しみたい」という。

 「産学連携による事業化や製品化はもちろんうれしいですが、その前に先生方が『やりたい』と思う研究を自由にできる環境をつくる人材でありたい。青森の活性化に貢献できるこの仕事を、将来も続けていきたいです」