定期的に出演している銀座のバー「えでーず銀座」で歌う湊さん

 2012年冬。初めて訪れたブロードウェーの劇場で見たミュージカル「シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~」に圧倒された。出演者のパワーあふれる歌唱、華やかな衣装と舞台美術。客席で涙が止まらなかった。「日本でやる時には絶対に出演する」。終演後、ニューヨークの空の下で誓ったその思いを、昨年かなえた。

 八戸市出身の湊陽奈さん(25)は、千葉県市川市に住むミュージカル俳優だ。八戸聖ウルスラ学院高校から昭和音楽大学(川崎市)に進み、昨年3月に卒業。在学中にオーディションを突破して、東宝の日本版「シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~」への出演を果たした。

 公演は昨年6月から約2カ月間、帝国劇場(東京)など全国の主要都市で行われた。森公美子さんや鳳蘭さんらトップクラスの歌い手に交じり、湊さんは修道女役を熱演。日本版初演のため役づくりには苦労もあったというが、「すごく楽しく、充実した毎日を送ることができました」と笑顔で振り返る。

 幼少のころからモダンダンスに親しんできたが、17歳の時に膝のじん帯を断裂するアクシデントに見舞われた。気落ちする湊さんに、「歌でもやってみたら」と声を掛けたのはピアノ教師だった母・孝子さんだったという。

 八戸市の声楽家・澤田京子さんの下で本格的に歌唱を学び、進学した昭和音大では「踊りと歌、どちらもやりたい」とミュージカルコースを専攻。大学4年からプロとしての道を歩み始めている。

 現在はフリーとして活動する。4月からは、しんゆりシアターミュージカルカンパニー(川崎市)の音楽劇「母さん サトウハチローの詩と母のものがたり」に出演。シンガーとしての顔も持ち、都内のライブハウスやジャズバーへの出演など幅広い。「どのフィールドでも、どの舞台でも、存在感を出せる人になりたい」と語る。

 目標はもちろんブロードウェーだ。「舞台に立つことが今とても楽しい。そこで人と人とのつながりが生まれることがうれしい。表現することを、もっともっとやっていきたいです」

地元とつながりたい

 「八戸が大好き。地元とのつながりが持てたらと、すごく思っています」と話す湊さん。舞台を目指す地元の高校生からメッセージをもらったこともあるそうで、「うれしかった。何か八戸のために貢献できればと思う」と笑顔で語る。「青森県出身のミュージカル仲間らを集めて、『はっち』で公演するのが夢ですね」