父・今井理桂さんの作品を手に笑顔を見せる土屋さん。「烏城焼の魅力は力強さ」と語る

 黒石市の「津軽烏城(うじょう)焼」はうわぐすりを使わない、自然釉(ゆう)の焼物だ。1300度を超える窯の中でアカマツの灰が溶けて器の表面を流れ、唯一無二の模様を描いていく。時に優しく、時に荒々しい作品の表情が、独特の味わいとなっている。

 千葉市に住むアートディレクター土屋美奈さん(31)=黒石市出身=は、窯元である今井理桂(りけい)さん(67)の長女。結婚を機に都内の企業を退職した5年前から、首都圏での烏城焼の展示企画や販売などを手掛け、多くの人に魅力を伝えている。

 弘前南高校から山形県の東北芸術工科大学に進み、文化財の修復や保存を学んだ。就職したのも、博物館の企画や展示をサポートする会社。その間もさまざまな陶芸作品に接したが、「やっぱり父の作品が好きだった。退職した時は、父の仕事を手伝うことしか考えられなかった」

 展示する作品は、実家に赴き自ら選ぶ。理桂さんが会場に来られない時は作品の解説にも当たる。「青森にも行ってみたい」「登り窯を見てみたい」。来場者のそんな声に応えようと、窯と青森県内をめぐるツアーを企画したこともあった。

 烏城焼の魅力は「力強さ。それはどこにも負けないと思います」と言い切る。使い込むと器の色が変わっていくのも良さだという。ただ、女性の視点、販売する立場から見ると、「もう少し日常で使うものがあっても…」とも感じる。烏城焼はどちらかというと大ぶりの作品が主体。「こんなデザインのものを提供したいな」と思うこともある。

 ならば、自ら作陶する考えは?と問うと、「うーん、私は向いていないんじゃないかなぁ。でも、自分で作れればいいな…というのもあります。ジレンマですね」と苦笑い。

故郷の魅力創出に一役

 土屋さんは黒石市のイベント「こでんてんin天空村」の実行委員も務め、故郷の魅力づくりに一役買っている。同イベントでは、烏城焼のある同市豊岡の「天空村」に全国から多彩な工芸家が集まり、制作実演などを披露する。今年は7月18~20日の開催。「ゆくゆくは黒石全体で盛り上げていきたいです」