「見てスッと理解できるのが絵画だと思う」と話す福士さん。自身の作品をバックに

 「他の誰にもできない、自分にしかつくり出せないものを創作するのが美術の面白さ。何かを生み出すのは、やっぱり楽しいです」

 弘前市出身で女子美術大学(神奈川県相模原市)教授の福士朋子さん(48)=相模原市在住=は日々教壇に立つ一方で、漫画の手法を取り入れたユニークな絵画作品を次々と発表している。

 幼いころから「絵を見るのも描くのも好き」という。将来は画家か漫画家という思いを胸に、中学卒業後東京へ移り、女子美術大学付属高校(東京都杉並区)に進んだ。

 美大卒業後、抽象画を中心に制作していた福士さんに転機が訪れたのは1998年。文化庁の事業で米国の大学院に留学することになった。多様な価値観の学生が集まる場で問われたのは、自分のオリジナリティーだったという。

 「自分の原点は漫画だ」。留学でそう気付いてから、絵画と漫画の融合が大きなテーマになった。2005年には実験的な展覧会を都内で開いた。

 創作で向き合うのはキャンバスではなくホワイトボード。手には絵筆ではなく油性マジックを握る。漫画のコマ割りを使い、絵画に時間の流れと動きを持ち込んだ。個展やグループ展のほか、壁面アートワークも手掛け活動の場を広げている。

 実は漫画家の夢を諦めきれず、大学卒業後も「こっそりと」漫画を描き続けていた。絵が売れない苦しさなどを表した漫画を、友人にファクスで送信。これが共感を呼び、送信先は約70人に増えた。

 今年1月には「お絵描き少女☆ラッキーちゃん」(BLUE ART)として出版した。「ファクスで送っていたときのように、楽しみながら本をつくることができました」と笑顔を見せる。

幼いころ育んだ好奇心

 15歳で東京に移り住んだ福士さん。「いつも『外に出ていろんなものを見たい』と思う性分なんです。東京にいても外国に行かなきゃ、とか」。弘前市でもそれを強く感じたという。「自然や文化は大好きだけど、ここを出ないと始まらないと思わせる何かがある」と故郷を評する。幼いころに育んだ好奇心が、今の作品につながっている。