江戸プレスのスタジオで笑顔を見せる虎谷さん(手前)。後方右は同社CEOでもある小嶋社長

 「休みはほぼ無し。日々無我夢中ですね」。そう語り、苦笑いする虎谷泰樹さん(44)=大鰐町出身=は、都内で活躍するフリーのディレクターだ。NHK・Eテレや民放キー局のほか、文化放送やケーブルテレビなど多方面で番組を制作。今も複数のスタジオで出演者に指示を出す忙しい毎日を送る。

 子供の時からテレビやラジオが好きだったという。深夜のラジオ放送をテープに録音するのが少年時代の日課。弘前市にあった「ハイローザ」での公開放送にもよく通った。

 弘前南高校から都内の大学を経て一般企業に入ったが、休日を使って日本テレビの放送作家セミナーに通ったことが転機となった。

 「一線の作家さんの話を聞き、ものをつくる仕事がしたいと思った」。受講後に脱サラし、メディア業界へ。テレビ東京や都内のレインボータウンFMなどでキャリアを重ね、30歳の時に独立した。

 同FMでは、まだ無名だったお笑いタレント・いとうあさこさんを見いだし、2人で約10年間番組を続けた経歴を持つ。「一緒に仕事をした人が売れていくのは、やはりうれしい」。今も若手タレントの番組を担当しているが、同FMの小嶋映治社長(61)は「パーソナリティーをスターにしていく能力がある」と手腕を評価する。

 この秋からは、小嶋さんが新たに開設したインターネットテレビ局「EDO PRESS(江戸プレス) JAPAN」の番組制作にも携わっている。

 江戸プレスは、訪日旅行中の諸外国の人に観光情報や日本文化の魅力を伝える多言語放送局。スタジオは東京モノレール・羽田空港国際線ビル駅のホーム内という絶好の場所にある。「いずれは人々を青森に誘う番組を提供してみたいですね」

実家は老舗和菓子店

 虎谷さんの実家は大鰐町にある老舗和菓子店「虎屋」。名物は「茶臼餅(ちゃうすもち)」で、今も父・碩雄(ひろお)さんが作り続けている。「僕は長男なのに、理解して東京へ出るのを許してくれた。両親には感謝している」。多忙なため、なかなか帰省できないというが、「いつかは大鰐に戻り、恩返しをしたいです」と思いを語る。