「夏に帰省して久しぶりに階上岳に登りました。小学校以来かな。花がきれいでした」という野沢さん

 大手アウトドア用品メーカー「コールマンジャパン」(東京都港区)で販売促進の責任者を務める階上町出身の野沢邦佳さん(40)=埼玉県在住=は、7月まで商品の企画開発に携わってきた。

 「使う人が、楽しかったり気持ちが良かったり。そういう五感に響く要素を入れたいんですよね」という。コージーチェア(ハンモックのような座り心地の折りたたみ椅子)など野沢さんが担当した商品はグッドデザイン賞に7回輝いている。

 ものづくりの世界に飛び込む絶好の環境で育った。「父が大工です。階上の実家も父が建てました。昔から、ものを作る仕事は花形で憧れていました」。八戸高校を卒業後、都内の大学で機械工学を学ぶ。最初の就職先は大手育児用品メーカー。ベビーカーを設計していた。

 コールマンでは主にファーニチャー(家具)やテントを担当。興味を持ったら仮説を立てて研究に熱中する。アウトドア用の炊飯器開発の時は、家電専門店に行って売り場のあらゆる炊飯器を調べた。「アイデアは突然ひらめくというよりも、目的と経験がつながった時に新しいアイデアが出てくる」

 失敗もまた、成功への一里塚。炊飯器の新機能として炊きあがりを音声で知らせようとしたら、炊飯中ずっと鳴りっぱなしだったことも。商品の使いやすさにこだわる一方で、生産コストへの配慮も必要だ。

 現在は、企画開発の経験を生かしつつユーザーに近い視点を持って販売促進の業務に就いている。「商品の企画開発は1人では成し得ない仕事。技術、生産、販売のチームワーク、さらに取引先、ユーザーとのコミュニケーションの大切さを感じています。毎日が新鮮な気持ちです」

我慢強く、コツコツと

 「青森県人は我慢強い。うまく言葉で伝えられないから、その分コツコツやるんでしょうかね」と野沢さん。同社で新商品の企画開発にじっくり取り組めたのも、青森県人だからだと感じている。「もし子ども時代に戻れるなら、父が家を建てる現場をしっかり見たい。地場産業や工芸品づくりも、子どもの感性で見てみたいですね」