バスツアーの車内で「東京のバスガール」を歌う於本さん

 鮮やかなレモンイエローの車体で、きょうも旅のドラマを運ぶ「はとバス」(本社・東京都大田区)。八戸市出身のバスガイド・於本由香利さん(45)=同区在住=は入社28年目、指導主任も務めるベテランだ。

 この日は皇居、浅草寺、東京タワーなどを巡るコース。終点の東京駅に近づき、はとバスのテーマソングともいえる「東京のバスガール」を披露すると、乗客から歓声がわく。サビの<『発車 オーライ』/明るく明るく 走るのよ>を一緒に口ずさむ年配客も。

 作曲者の故・上原げんと(つがる市出身)は今年が生誕100年。「青森県出身と知って、なおさらご縁を感じますね。この曲がヒットした当時(1957年)は生まれてませんが、乗務経験とともに、年齢とともに、この曲をしみじみ感じるようになりました」

 はたから楽しそうに見える仕事ほど、陰の苦労も多い。最近は少なくなったが、泥酔してからむ客もいる。でも常に笑顔で応対。「お客さまを怒るなんてできませんからね。顔で笑って心で泣いて…本当に曲そのものです」と於本さん。

 「それにしても歌には力があるんですよね。何となく静まっていた客席の雰囲気が一変して、心一つに手拍子を打つようになる。特に『東京のバスガール』は盛り上がります」

 インターネットの普及で、例えば買い物なら商店に行かなくても品物を入手できるようになった。さまざまな観光地の景観を写真や動画で紹介するサイトもある。でも、だからこそ、実際に現地を訪れる旅の魅力を、多くの人が再評価しているのかもしれない。

 「旅って、素直に自分の気持ちを表現できる時間だと思うんです。景色を見て『わぁきれい』って。素敵な料理を味わって『おいしい』って。年齢がいくつになっても、時代が移っても変わらないものがある。そこに、この仕事のやりがいを感じます」

 14日には母校・八戸第一中学校の修学旅行に随行した。「毎日、出会いと別れがあって、また新しい出会いがある。人生は旅そのものですね」と輝く笑顔を見せた。

今も愛用「古里の味」

 於本さんが職場の仲間に広め、好評だったのが「源たれ」こと、上北農産加工農業協同組合(十和田市)の定番商品「スタミナ源たれ」。3年前、社員旅行で三沢市の温泉を訪れた際、実家から差し入れがあったという。

 「野菜炒めのほか、卵かけご飯に掛けてもおいしいんです」と於本さん。古里の味を忘れぬよう、愛用している。