「より分かりやすく伝えたい」と目標を語る奈良岡さん=東京・東池袋の日本気象協会で

 あこがれだった全国放送出演の夢を、この春かなえた。

 青森市出身の気象予報士・奈良岡希実子さん(29)=日本気象協会所属、都内在住=は、4月からNHK総合テレビの「情報まるごと」(月~金曜日、午後2時5分~55分)で気象情報を担当。さわやかな笑顔と丁寧な語り口で、その日の天気と予報をお茶の間に届けている。

 「おばあちゃんたちに、にこにこ見てもらえるようなコーナーづくりをしたいです」

 気象予報士は中学生のころから抱いていた夢の一つだった。青森高校、東京女子大学と進む中で次第に思いは固まり、大学卒業から1年後の2009年に予報士の試験に合格。オーディションを受け、10年に東日本放送(宮城県)の気象キャスターとなった。

 初めてのテレビ出演時は足が震えた。警報が出た時に、落ち着いて話そうと声のトーンを低くしすぎて失敗したことも。そんな試行錯誤の中で訪れた11年3月の東日本大震災が一つの転機となった。

 未曽有の被害と、おびただしい数の犠牲者。春の訪れによる気温の上昇を伝えること一つをとっても、表現に悩んだ。「こんなときに、どういう言葉で伝えれば良いのか…」。しばらくは途方に暮れたという。

 そんな中、現場から戻ってきたカメラマンに「天気や気温だけでも、被災地の人たちには重要な情報になっている」と声を掛けられ、気象情報を伝えることの意義にあらためて気付かされた。

 普段は見る人が分かりやすいよう軟らかい表現で、警報や災害時は出ている情報を確実に伝える-。「3.11」以降、言葉の選び方にはより注意を払うようになったと話す。

 「情報まるごと」の出演もまた、オーディションを突破してつかんだ。担当して4カ月余り。「まだまだ雲をつかむような感じで…」と謙虚に語るが、「ただ情報を流すだけでなく、もっとかみ砕いて分かりやすく伝えたい」と思いは熱い。

 気象キャスターが放送時に手にし、天気図などを示す棒は「指し棒」と呼ぶそう。「あれが持ちたかったんです」と目を輝かせる。

観光大使 大張り切り

 NHK出演がきっかけで、奈良岡さんは7月、 青森市の観光大使に任命された。「ぜひ! と喜びました。青森のご飯(=食)のおいしさを発信したい」と意欲満々。祖父は元青森市長の奈良岡末造氏(1913~95年)で、形こそ違うが同じく故郷のために活動することになった。「(孫として)恥ずかしくないよう頑張ります」