映画『居眠り磐音』メインカット(C)2019映画「居眠り磐音」製作委員会

 17日に公開された俳優・松坂桃李が時代劇初主演を果たした『居眠り磐音』。『刀剣乱舞』を筆頭に、ゲームやアニメの世界でもイケメン時代劇ブームが続いており、“歴女”と呼ばれる歴史好き女子や、殺陣を習いたい“アクション女子”が話題にあがるように、女性が時代劇に注目している昨今。先ごろ、佐藤健主演の『るろうに剣心』の最終章の製作が4月に発表され話題を集めたが、松坂が演じた坂崎磐音と剣心。彼らに共通するポイントをあげながら、時代劇への魅力にあらためて迫っていく。

【場面ショット】杉野遥亮&柄本佑と友人の間柄を演じた松坂桃李

■つらい過去を背負い、強く優しく生きていく主人公のキャラクター像

 「この男、切ないほどに、強く、優しい」というキャッチコピーの磐音。松坂自身が「穏やかで静かな空気をまといつつ心の奥底に青い炎を燃やしている男」と表現するように、優男ながらも剣の達人である。しかし、過去に許嫁である小林奈緒(芳根京子)の兄で友人の琴平(柄本佑)を斬ってしまう哀しい過去を持つ。

 一方の剣心は、自身が身を隠すために結婚した妻・雪代巴を不幸な事件から自らの手で斬殺してしまう。その後、巴の弟・雪代縁に追われることになるきっかけとなるも、幕末から明治にかけて平和な時代を作るために、“妻を殺してしまった”という事実を抱えながら、優しい人柄を見せながら強く生きていく。

 2人とも、普段は笑顔を絶やさない親しみやすいキャラクターではあるが、計り知れない暗い過去をあわせ持っている。人斬り抜刀斎と恐れられながらも“不殺の誓い”をたて、神谷薫や明神弥彦、相楽左之助や高荷恵たちと穏やかな時間を過ごす剣心は、浪人として江戸に出て共に暮らし、ウナギさばきに精を出す磐音とも通ずるところがある。彼らの姿は、自分の強さをひけらかすことなく、普段は優しく皆に好かれる人物であることが伝わってくる。

■主人公と敵対する“魅力”が詰まった悪役キャスト

 剣心のライバルといえば、四乃森蒼紫、志々雄真実、瀬田宗次郎、斎藤一など、それぞれの特徴をもったキャラクターが並ぶ。一方で、『居眠り磐音』で最後まで敵対する関係にあるのは柄本明が演じる阿波屋の有楽斎だ。力を持って商人として、幕府ともつながりを持つ“悪役”っぷりは見どころのひとつでもある。

 12年に公開された『るろうに剣心』の第1作では、阿片(アヘン)の密造を行い、利益を得ていた貿易商人・武田観柳を香川照之が熱演。当時の最新兵器・ガトリングガンを取り出し、剣心たちに襲いかかったのを、映画を観た人であれば記憶に残っているはずだ。金に物を言わせる敵対キャラとの対立は、時代の相違こそあれども磐音と剣心で重なる部分を感じることもあるだろう。

 『居眠り磐音』の原作は、シリーズ累計発行部数が2000万部を突破した佐伯泰英氏の最高傑作であり、平成で最も売れた時代小説だ。『るろうに剣心』のコミックスは6000万部を超える人気作。共に原作に熱狂的なファンを持ち、イメージに沿った主人公の松坂と佐藤、脇を固めるキャスト陣も、迫力あるアクションシーンを演じているなど、作品を通しての共通点もあげられる。いよいよ公開を迎えた『居眠り磐音』が、“るろ剣”に続く新時代のヒット作になれるのか。イケメン時代劇ブームの行く末にも注目したい。

【映画あらすじ】
<居眠り磐音>
磐音は、3年間の江戸勤番を終え、幼なじみの2人と共に、九州・豊後関前藩に戻るが帰藩早々に起きた“事件”により、1日にして2人の友を失い、祝言を間近に控えていた許婚の小林奈緒(芳根京子)を残したまま江戸で浪人暮らしを送ることになる。そんな折、幕府が流通させた新貨幣をめぐる陰謀に巻き込まれ、江戸で出会った人たちを守るため、悪に立ち向かっていく…。

<るろうに剣心 最終章>
最終章では、これまで語られることのなかった剣心の「十字傷の謎」に迫る物語と、中国大陸の裏社会を牛耳る謎の武器商人であり、武器や軍艦を送り込み志々雄真実を操っていたシリーズ最恐の敵・縁(えにし)との戦いを、動乱の幕末期と明治維新後の新時代の2つの時代を通して描かれる。