朝市ですれ違う与野党候補の陣営関係者ら=31日朝、八戸市の館鼻岸壁

▼八戸市区(定数八-9)/少数激戦「強敵ばかり」
 選挙戦3日目の31日早朝、八戸市の館鼻岸壁で開かれた日曜朝市。八戸市区に立候補したほとんどの陣営が繰り出した。あいにくの雪模様で人出は少なく、ある候補者は「出会うのは他の候補者ばかり」と苦笑いした。

 現職8人、新人1人の前回と同じ顔ぶれによる少数激戦。「厳しい戦い」「強敵ばかり」-。どの陣営も口をそろえる。現有3議席で4人を擁立した自民党と、2議席確保を目指す国民民主党の対決を軸に、公明党、共産党、無所属候補が議席死守へしのぎを削っている。

 「唯一の新人候補。激戦だが負けるわけにはいかない」。選挙戦初日の29日、自民党の大崎光明(51)が郊外のショッピングセンター前で訴えた。参院議員滝沢求の秘書を経て前回初挑戦。有力候補とみられたが「よもやの敗戦」(関係者)を喫し、以来、捲土重来(けんどじゅうらい)を期してきた。党内外でささやかれる「大崎は大丈夫」との見方に、本人は「根拠のないうわさ。現職と比べて知名度はまだまだ」。

 前々回以来の4議席獲得を狙う自民党。衆院議員大島理森は衆院議長の立場から表立った動きは控えているが、4人必勝へ号令をかけている。自民党サイドが気に掛けるのが、党公認候補者同士による票の食い合い。特定候補が大きく得票を伸ばせば、その分目減りする候補が出るからだ。

 現職の危機感は強い。6選を目指す清水悦郎(69)は決起大会で「だれが落ちてもおかしくない選挙。原点に帰った戦いをする」と力を込めた。熊谷雄一(56)、藤川友信(70)は告示直前まで、それぞれ県議会議長、県監査委員としての公務をこなしたため「出遅れた」(熊谷)と警戒心をにじます。

 30日昼、八戸市中心市街地。国民民主党代表・玉木雄一郎と並び立った同党現職の田中満(50)は「大変厳しい」と繰り返した。前回最下位当選だった田中。大きな組織は持っておらず、党の支持率も低迷しているが、同党関係者は「現有2議席確保へ田中は落とせない」と話す。

 前回、当時民主党県連代表代行だった田名部匡代=現国民民主党県連代表=が田中を全面支援した。田名部はその後、参院議員となり、国会の合間をみて全県を巡っているため、地元に張り付くことができない。田名部関係者は「まずは田中本人が必死に活動するのが大事」とし、田名部が本格的にてこ入れするのはその後との見通しを示唆。31日、田名部が告示後初めて田中の応援マイクを握った。

 7期目を期す同党の田名部定男(72)は「政権交代可能な政党は、理念、政策をみても国民民主しかない」と強調している。

 旧民進党から国民民主党入りせず無所属で挑む山田知(49)は31日の演説会で「無所属になって選挙は大丈夫か-と心配をお掛けしている」と率直に語った。山田は選挙戦への影響は直接的には感じていないというが、長年、田名部匡代と行動をともにしてきたため、陣営は田名部支持層の動向に気をもんでいる。

 前回までと同様にきめ細かく集会を開いてきた山田は、県政との協力関係を強調。選挙事務所には田名部と並んで、自民党が支援する知事・三村申吾のため書きが張られている。

 「何としても共産議席を守る」。松田勝(71)は29日の第一声で力を込めた。前回、八戸市区で初めて議席を獲得した同党。党関係者によると、17年の衆院選で議席を減らしており、党を取り巻く環境は前回より厳しいという。同党は県議選後に行われる八戸市議選に3人(現有2議席)を擁立する予定で、連動して票の掘り起こしを進めている。

 公明党は、保守層が強い八戸市区を「超重点区」と位置付け、畠山敬一(63)の4選に向けて党幹部を投入している。

▼三戸郡区(定数三-4)/「地域代表選び」の様相

 「こういち、こういちをよろしく」。31日午後、南部町。自民党現職の夏堀浩一(65)は選挙カーに乗り込み、鉛色の空に向かって声を張り上げた。

 地盤は同町旧福地村で、無所属新人の夏堀嘉一郎(かいちろう)(44)と重なる。「夏堀」姓の記入だけでは案分となるため、名前を書くよう呼び掛けを徹底。3期連続トップ当選の実績も訴える。陣営幹部は言う。「今回は各地域の代表選び-という様相を呈する。『夏堀対決』には負けられない」

 かつて地元の建設会社代表取締役を務め、顔が利く夏堀嘉一郎を意識、警戒する声は少なくない。

 自民党公認で前三戸町議会議長の新人澤田恵(さとし)(61)は県議選で2度屈した旧民進党の町長松尾和彦と手を握り、三戸町で支持拡大を目指す。ただ当選ラインに確実に乗せるためにも、縁の深い田子町、そして他町村での票の上積みが必要だ。「何とかこの私に」と街頭での声には危機感がにじむ。

 「(得票の)8割を五戸と新郷で」。前五戸町議会議長の無所属新人和田寛司(かんじ)(56)は地元での票の掘り起こしに躍起だ。国民民主党の現職北紀一からいったん後継指名を受けたものの、自民党から推薦を受け出馬。一部に漂う不信感を打ち消そうと、町議の大半の支持を取り付け各地を回る。

 北から正式な後継指名を受けた唯一の非自民候補である夏堀嘉一郎は地元南部町、北の地元五戸町のほか、立候補者のいない飛び地の空白地帯・階上町で走る。国民民主党県連代表の田名部匡代支持者が多い同町で31日、田名部本人とともに街頭に立った。「若い力に託して」と田名部は、南部町議1期目途中で辞職した新顔の知名度を広めようと声をからした。

 地元固めに余念がない自民系3人。「階上票」確保を狙う若手。舌戦は激しさを増す。