第4回東奥文化選奨 4人に贈呈 輝く表現 未来照らす

 東奥日報文化財団(理事長・塩越隆雄東奥日報社社長)は3月25日、第4回東奥文化選奨の贈呈式を青森市の東奥日報社本社7階ホールで行い、指揮者の沖澤のどかさん(31)=青森市出身でドイツ在住、こけし工人の阿保正文さん(36)=黒石市、アートディレクターの森本千絵さん(42)=三沢市出身で東京在住、書道家の加藤大翔(たいしょう)さん(60)=板柳町出身で東京在住=の活躍をたたえた。

写真を拡大 東奥文化選奨を受賞後、壇上であいさつする(左から)沖澤のどかさんの父で代理の沖澤信厚さん、阿保正文さん、森本千絵さん、加藤大翔さん(本社撮影)

 

 

 

 

 

 

 

 東奥文化選奨は、芸術・文化分野で実績を上げている新進気鋭の作家・表現者であるとともに、将来的に本県の芸術・文化の普及振興への貢献が期待される本県在住または出身者を対象に毎年1回選定。今年は同財団の2月の理事会で4個人が決定した。
 沖澤さんは2018年に若手指揮者の登竜門とされる東京国際音楽コンクールで第1位と特別賞を同時受賞。現在はドイツの音楽大修士課程で指揮の勉強に励んでいる。阿保さんは津軽こけしの若手工人として活躍、伝統の中に新たなデザインを加える独創性が高く評価されている。
 森本さんはテレビ番組のタイトルやポスターのほか、企業広告、空間ディレクションなど広い分野でデザインを手がけ、本県の観光・文化振興や街づくりにも貢献している。加藤さんは日展で20回の入選を果たしているほか国内で多数受賞、県書道振興会議常任理事として本県書道界の指導的役割を担っている。
 贈呈式には同財団の理事や評議員のほか、県内の文化団体関係者ら約50人が出席。塩越理事長が4個人に表彰状と金一封、トロフィーを手渡した。
 また、来賓を代表して青山祐治副知事が「これからも人々の心に癒やしと希望を届けてほしい」と祝辞。塩越理事長が「受賞者の皆さんがさらなる文化活動を通して、本県に元気を与えてくれることを期待します」とあいさつを述べた。

第4回東奥文化選奨贈呈式 沖澤さん「青森でオペラ上演」阿保さん「津軽こけしを残す」森本さん「三沢で心が開けた」加藤さん「誰もが読める書を」

写真を拡大 沖澤のどかさんの父・沖澤信厚さん
写真を拡大 阿保正文さん
写真を拡大 森本千絵さん
写真を拡大 加藤大翔さん

 

 

 

 

 

 

 「青森で本格的なオペラを開きたい」「津軽こけしを後世に残す」「人を一つにする活動をデザインしたい」「誰もが読める書を大切にする」─。25日に行われた第4回東奥文化選奨贈呈式では、4人の受賞者が感謝の言葉を述べ、本県出身者としての自覚を胸にさらなる飛躍を誓った。
 「青森のおおらかな自然と、素晴らしい先生や仲間たちに囲まれ、伸び伸びと音楽を続けられた」。指揮者の沖澤のどかさんは、本県で過ごした青春時代を振り返り、代理で出席した父・信厚(のぶあつ)さん(62)を通じてメッセージを寄せた。
 進学先の東京芸術大学では、レベルの高さや厳しい指導に耐えかねて休学し、一時期青森の実家に戻ったというエピソードも披露。
 「そんな時でも静かに見守り、じっくり考える時間を与え、いざ前に進もうと決断した時には全力で支えてくれた両親と地元の先生方には感謝してもしきれない。課題や目標はたくさんあるが、青森での本格的なオペラの上演という夢の実現に向け、一歩一歩精進したい」と決意を示した。
 こけし工人の阿保正文さんは「14年前、父の阿保六知秀(むちひで)に弟子入りしたが、初めからいろいろなことに携わらせてくれたおかげで、今ではさまざまなこけしを作れる工人になれた」と感謝。
 同席した六知秀さん(68)は、贈呈式後の昼食会で「正文が(弘前大学を)卒業間近になったころ、東京で就職するのではという心配があったが、ぽつりと『父の仕事をしたい』と言ってくれてほっとした。これからも父についてきてもらいながら、いずれは追い越してほしい」とお祝いの言葉を述べた。
 「幼いころは表現することが苦手で、人と会話することも恥ずかしかった」と語ったのは、アートディレクターの森本千絵さん。
 幼少期に東京へ引っ越したが、たびたび三沢の実家に帰省した思い出に触れ「澄みわたる空気の中で友だちと過ごすことで、徐々に心が開けた。目の前にいる人に大切なメッセージを伝えたいということを、絵や音に変えて表現しながら成長していくうちに、今の自分になった」と語った。
 書道家の加藤大翔さんは「書道を始めてから50年たつが、ここ20年は誰もが読めて分かる書に努めてきた。多くの人に親しみを持ってもらうためにも、これからの書は読めることが大切になってくる。この先、私が青森県のためにできることがあるとすれば、身を引き締めて惜しみなく努力したい」と力を込めた。