専門(せんもん)的な音楽教育で未来の演奏(えんそう)家を育てる東京芸術(げいじゅつ)大学音楽学部付属(ふぞく)音楽高校に、この春、青森市の2人が合格(ごうかく)しました。バイオリンの水野(みずの)琴音(ことね)さん(浦町中3年)とピアノの小形(おがた)然(ぜん)さん(南中3年)に、高校生活の目標や将来(しょうらい)の夢(ゆめ)を聞きました。
「心に残る音楽を」
同校の入試は、演奏実技(じつぎ)の1次試験を突破(とっぱ)した後、2次試験やソルフェージュ(音楽の基礎(きそ)的な力を問う試験)、学科試験、面接(めんせつ)などがあります。定員は西洋音楽と邦楽(ほうがく)を合わせて40人で、今年は全国から109人が受験。倍率(ばいりつ)は2.73倍の難関(なんかん)でした。
水野さんがバイオリンを始めたのは、奈良県に住んでいた5歳(さい)の時。小学5年生の時に青森市に引っ越(こ)し、月1~2回、東京でレッスンを受けています。
受験ではサン=サーンス作曲「バイオリン協奏曲(きょうそうきょく)第3番」などを演奏。合格(ごうかく)発表の時には「自分の演奏がどう評価(ひょうか)されているか分からなかったので、ほっとした」と言います。
「芸高は全国から志(こころざし)を持つ人が集まって、専攻(せんこう)が違(ちが)っても高め合える学校だと思う。将来はバイオリニストになって、留学(りゅうがく)もしたい。もう一度聴(き)きたいと思ってもらえるような、心に残る演奏がしたい」と笑顔(えがお)で話しました。
「作曲家の思い表現」
一方、小形さんは、青森市に住んでいた4歳の時にピアノを始め、秋田県で小学校時代を過(す)ごした後、中学校から再(ふたた)び青森へ。小学生の時から東京でレッスンを受けていましたが、同校を目指し始めたのは中学に入ってからで、1日3~4時間ほど練習を積んできたそうです。受験ではメンデルスゾーン作曲「厳格(げんかく)な変奏曲(へんそうきょく)」などを弾(ひ)きました。
東京で1人暮(ぐ)らしをしながら高校に通い、「自分の力を伸(の)ばしながら、音楽をもっと楽しむことができる3年間にしたい」という小形さん。「楽譜(がくふ)に書いていないことも含(ふく)めて、作曲家が言いたかったことを表現(ひょうげん)できるピアニストになりたい」と話していました。
2人の成長を見守ってきた青森市のピアニスト岡田(おかだ)照幸(てるゆき)さん(64)は「水野さんは未来のスターの予感。小形さんはものすごい才能(さいのう)がある。2人ともいい演奏家になってほしい」とエールを送りました。