北前船(きたまえぶね)の交易(こうえき)によって鯵ケ沢(あじがさわ)に伝えられ「津軽(つがる)の京まつり」として格式(かくしき)と伝統(でんとう)を誇(ほこ)る白八幡宮(しらはちまんぐう)大祭は今年、4年に1度の開催(かいさい)年を迎(むか)えました。
白八幡宮は藩政(はんせい)時代には浪岡(なみおか)八幡宮、弘前(ひろさき)八幡宮とともに「津軽の三八幡」と称(しょう)せられる由緒(ゆいしょ)ある神社です。大祭は津軽藩公の命令で1677(延宝(えんぽう)5)年に始まりました。主役は神輿渡御(みこしとぎょ)行列ですが津軽地方で唯一(ゆいいつ)、人形山車(だし)が出陣(しゅつじん)する祭りでもあります。2001年からは町内会連絡(れんらく)協議会を主体とする実行委が主催し、8月14〜16日に行われています。
神輿行列は、町の無形文化財(ぶんかざい)に指定されています。神輿2基(き)に遷(うつ)された神さまが街中を通って祝福するという意味があるそうです。神官、裃(かみしも)姿の奉行(ぶぎょう)役、鉄砲(てっぽう)、槍(やり)、盾(たて)、弓を持つ者ら200人近くが付(つ)き従(したが)う華(はな)やかな行列は、長さ1キロにも及(およ)ぶそうです。最終日には神輿が海を渡る「海上渡御」も行われます。
行列には各町内の山車が続きます。神功皇后(じんぐうこうごう)や川中島(かわなかじま)の戦い、楠木(くすのき)正成(まさしげ)など歴史上の人物や物語に題材を取っているのが特徴(とくちょう)。子どもたちが務(つと)める鉦(かね)、太鼓(たいこ)、笛の囃子(はやし)方が乗(の)り込(こ)みます。
人口減(げん)と少子高齢(こうれい)化に伴(ともな)い祭り参加者の確保(かくほ)は年々難(むずか)しくなっています。祭りの経費(けいひ)や山車修繕(しゅうぜん)費の確保、伝統芸能(でんとうげいのう)・囃子の伝承(でんしょう)など多くの課題の解決(かいけつ)に向け12年12月には行政(ぎょうせい)、観光、商工、町内会関係者による「保存(ほぞん)会」が発足。より良いかたちでの大祭の運営(うんえい)に向け知恵(ちえ)を出し合っていきます。保存会の会長を務める杉澤廉晴(すぎさわやすはる)町観光協会長は「先人の思いを大切にしながら現代(げんだい)に合わせたかたちにしていきたい」と話しています。