「ニンニクの持つパワーを体に取り入れてほしい」と話す笹森さん(右)とせんさん=東京・青山

 「黒にんにく、いがかですか」。1月のある日曜日、東京・青山で開催中の青空市場「青山ファーマーズマーケット」。仮設テントの一角で、笹森誠子さん(41)=藤崎町出身、都内在住=が立ち寄った客に明るく呼び掛けた。傍らで、仕事の相棒の〓楚喬(チャンチュチャオ)さん(31)=台湾出身、愛称・せんさん=が手製の紙皿にニンニクを盛りつけていた。(※〓は「危」の卩部を「儿」の下に「言」と置き換えた字)

 ニンニク、黒にんにくともに藤崎町の笹森さんの実家で生産・製造している。実家は100年続く農家。では、笹森さんも農業をなりわいにしているかというと「違うんです。いろいろありまして」と笑う。

 以前は栄養士として地元の病院などで給食業務に携わっていた。住環境について学ぼうと2014年に上京。インテリアコーディネーターの資格を取り、デザイン会社で働き始めた。

 15年、当時住んでいたシェアハウスに、せんさんが入居。デザイナーである彼女に会社のイベントなどを手伝ってもらううちに意気投合した。正月、せんさんを連れて帰省したところ、笹森さんの母親が産直施設に出している黒にんにくの商品パッケージを見て「これ、デザインかわいくしたらもっと売れるのに。もったいない」と言われた。

 一方、笹森さんは東京暮らしの中で、食の大切さを実感していた。「日々の食事が未来の自分の体をつくる」。栄養士の仕事を通じて体得していたはずが、新鮮で質のいい食材を手に入れることの難しさを感じることが多かった。食や農業をもう一度見つめ直そうと思った。農業では、農家が生産するだけでなく、ブランド化し、加工や販売もすることでさらに付加価値を生み出せるのではと考えた。

 17年11月、2人で株式会社「クロブシ」を設立した。事業内容は各種デザインや商品企画など幅広い。農業分野では「一日一片」を掲げ、黒にんにくのブランド化に取り組んできた。

 青山のマーケットには18年4月から毎週土日に欠かさず出店してきたが、3月で一区切りするつもりだ。

 その先の計画がある。採れたての新鮮な野菜を味わったり農業体験ができる小さな農家レストランを古里につくること。いずれは台湾でも活動する考えだ。

 「私たちがやりたいのは、1人でも多くの人の生活の質、人生の質を上げること。それには心と体が健康であること、食の力がとても大事だと思います。そのために『クロブシ』の力を使ってほしいですね」

 「クロブシ」に関する問い合わせは公式サイト(www.kurobushi.com)で。