難関大を目指す高校生を対象に市教委が開いた「まさかり高校 医学部進学・特進コース」の講習会。東大との連携で、プログラムの充実を図る=2018年8月、むつ市役所

 青森県むつ市が東京大学と連携し、市内の小中高生を対象とした人材育成事業の構想を進めていることが2日、分かった。「下北から東大生」「下北から甲子園」「下北からベンチャー」と銘打った3分野のプロジェクトを柱に、2019年度から実施する方針。大学などの高等教育機関がない下北地方で、東大が持つ国内トップレベルの知見やブランド力を生かし、教育環境充実を図る。

 期間は19~21年度の3年間を予定。東大は研究者や学生をむつ市に派遣し、講習会などを開いて児童・生徒に指導、助言する。市は研究の場の提供などで協力する。

 学力向上を目指す「東大生」プロジェクトは、市教委が実施している高校生向けの学習支援事業「まさかり高校 医学部進学・特進コース」をベースに展開。東大生を講師に招いた特別講習会や講演会を行う。

 「甲子園」プロジェクトは、高校野球をはじめとするスポーツ全般の競技レベル底上げ、全国規模の大会出場や成績向上が目標。選手への科学的トレーニング支援、指導方法や食育に関する指導者向け講習会などを計画している。

 「ベンチャー」プロジェクトは、産学連携分野の研究者などから協力を得て、起業やビジネスについて学ぶ場をつくる。将来的な起業件数や働く場所の増加、地域経済活性化を狙う。

 スポーツ指導で招いた研究員や学生が児童・生徒の学習指導も行うなど、プロジェクト間を橋渡しする取り組みも検討している。

 むつ市内で18年に行われた少年野球大会に、東大の研究室が研究の一環として参画。その際に、地元の公立高校から甲子園出場を目指す取り組みや、市が実施している学習支援事業に共感し、市との協力による人材育成プロジェクトを検討してきた。

 宮下宗一郎市長は「日本でトップの人や研究に触れる機会を下北で提供する。子どもたちの夢を応援し、地域を支える人材や世界に羽ばたく人材を育てていきたい」と話した。

 プロジェクトに関わるメンバーの1人で、スポーツ科学が専門の東大大学院総合文化研究科・伊藤尚司特任研究員は「文武両道など多面的な能力を伸ばす人材育成が、私たちの目標。研究成果を地方で実践し、さらなる発展が期待できる。やりがいと価値のある取り組みになる」と語った。