ポク、ポク、ポク…。葬式(そうしき)などで木魚をたたきながらお経(きょう)を読む−といえばお坊(ぼう)さんですよね。僧侶(そうりょ)とも呼(よ)ばれ、人々に仏教(ぶっきょう)の教えを伝えるのが主な役目です。板柳(いたやなぎ)町のお寺「大善寺(だいぜんじ)」で働く大屋正順(おおやまさのり)さん(30)もその一人。副住職(じゅうしょく)を務(つと)める若手(わかて)です。
大屋さんは実家である大善寺のほかに、お寺が運営(うんえい)する幼稚園(ようちえん)や、仏教を教えている他県の学校でも働いています。
大善寺は浄土宗(じょうどしゅう)と呼ばれる宗派(しゅうは)。浄土宗は1175年に法然上人(ほうねんしょうにん)という人がおこし、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」ととなえることでみんなが平等に救われる−と教えています。
家がお寺だった大屋さんは高校卒業後、自然と仏教を学ぶための大学に進学。机(つくえ)に向かって学問を勉強しながら、宗派をとりまとめる「本山(ほんざん)」という大きなお寺に出向き、実際(じっさい)にお経の読み方などの作法を学び、お坊さんの資格(しかく)を得ました。「正座(せいざ)する時間が多く、膝(ひざ)の痛(いた)みが大変でしたね」と大屋さんは笑います。
お坊さんは、人が前向きに生活するために、生と死のより良いあり方を人々に伝えます。やりがいを感じるのは、浄土宗の教えに心打たれた人が、晴れやかな表情(ひょうじょう)になった時。みんなのご先祖(せんぞ)さまが安らかに過(す)ごせるよう供養(くよう)することも大事な仕事です。8月のお盆(ぼん)近くが1年で一番忙(いそが)しいそうです。掃除(そうじ)をしてお寺をきれいに管理することももちろん大切です。
今も続けている書道は、大学時代に本格(ほんかく)的に始めました。古典など過去(かこ)のものから学ぶことは、仏教に通じるものがあるそうです。
「まだまだ自分は修行(しゅぎょう)不足」と大屋さん。お坊さんにとっては、生きる上でのすべてが修行であり、終わることはありません。常(つね)に向上心を持った生活態度(たいど)が求められています。
大屋さんは言います。「幼稚園や学校での仕事も含(ふく)め、さまざまな立場から、特に若い人たちに仏教に親しみ、興味(きょうみ)を持ってもらえるように頑張(がんば)らないといけません」