立憲民主党が昨年秋の衆院選に続き、参院選でも敗北した。しかも比例代表では、日本維新の会に107万票もの差をつけられ、野党第1党の座を奪われたのだから、衝撃は計り知れない。

 敗因は何か。すべての1人区で野党の候補を一本化させた過去2回の共闘が、今回は限定的にとどまったことが一つ。離反した国民民主党を引っ張り込む力がなく、頼りなさを印象付けた。加えて、衆院選で共産党との協力が他党の激しい攻撃に遭い、トラウマになり腰が引けていたのは紛れもない事実だ。

 しかし、今回の退潮はそれだけで片付けられない深刻な問題をはらむ。比例の不振は、前代表代行の蓮舫氏が「『野党第1党』という立場に甘んじていたのではないか。何をする政党かが見えなかったとの猛省点がある」と振り返るように、立憲民主自身が政策も含め魅力ある存在でなかった証左。政権批判票を吸収できないだけでなく、むしろ社会の閉塞(へいそく)感を背景にした既成野党への不満の対象となり、維新の伸長や、参政党、NHK党の議席獲得を許してしまった。

 惨敗した衆院選後に就任した泉健太代表は「批判ばかり」との批判を恐れ、「政策立案型政党」を掲げた。だが、先の通常国会では、岸田政権をチェックする迫力を欠き、肝心の行政監視の役割を十分に果たせず、存在感が希薄だったのは否めない。参院選の公約で政権与党との違いを打ち出したものの、有権者に浸透する時間もなかった。

 党再建の道は険しい。野党の原点に返り、国会で堂々と政権と対峙(たいじ)する。物価高騰対策や、再び猛威をふるい始めた新型コロナウイルスへの対応という、直面する命と暮らしを守る課題で、生活者目線の明確な政策を提示していく。自民党が前のめりとなる抜本的な防衛力の強化と憲法改正にブレーキをかけたいならば、説得力のある理論武装を用意しなければならない。

 加速する人口減少と少子高齢化、持続可能な社会保障制度の構築、気候変動を踏まえた中長期的なエネルギー戦略などは、党の独自カラーを発揮できる分野でもある。財源に裏付けされたリアリティーのある対案を練り上げ、国会、地方議員が一丸となって地道に訴えていくほかない。メディアに取り上げられないとの苦悩もあるだろうが、交流サイト(SNS)などを駆使しながら伝え方を一工夫する必要がある。

 自民と比べ、格段に劣る地方の組織力をカバーするには、まず来年の統一地方選で地方議員を一人でも多く増やす。さらに今回落選した者も含め、次期衆院選や参院選の候補者も早急に決め、各地に張り付き活動してもらう。こうした努力なくして党の再生はないと心得るべきだ。

 一方、野党共闘と決別した国民民主も議席を減らした。野党を名乗りながら、与党と共同歩調をとるのは有権者にとって極めて分かりにくい。この立ち位置を続けるならば、野党の看板を下ろすべきだろう。立憲民主、国民民主両党を支援し、自民にも接近する連合の路線も問われている。

 政治の場に緊張感をもたらすには、強い野党が欠かせない。投票に行かなかった人たちもターゲットに、政策力を徹底的に磨き、あちこちで対話を重ねていく。次の戦いは始まっている。