303歩

 浅瀬石川に架かる千歳橋を渡り、まずはそば店を目指した。正午まであと10分、さあ腹ごしらえ…。しかし店先の黒板には「日曜 月曜 定休日です」。この日は月曜日だった。

 670歩
上下逆の看板が目印のクリーニング店と2代目の葛西一之進さん=地図(1)

 出ばなをくじかれ、数分間、周辺を行ったり来たり。何とか気を取り直して、田舎館村方面へ進み、「サンシャインドライクリーニング」に着いた。「ファッションクリーニング」と記された縦型看板が上下逆さに取り付けられており、以前からそのわけを知りたかったのだ。2代目の葛西一之進さん(49)が「自分が小学生のころから看板が逆だった。目立とうと思って、逆に付けている」と教えてくれた。父親で初代の勇之進さん(72)の時からとは! 「写真を勝手に雑誌に投稿されたことも」と一之進さんはにやり。黒石剣友会少年部で指導しているとあって「稽古は週3回。いつでも見学OKです」と剣道のアピールも熱かった。

 801歩
全国の手作り工芸品を取り扱っている玉置さん=地図(2)

 今度こそ昼飯を-と、近くの手作り工芸品の店「李紗羅(いさら)」へ。以前、市内クラフト市の取材で訪れ、ランチを提供していると分かっていた。経営する玉置英子さん(59)が「きょうのお薦めはハンバーグ」というのでそれを注文。店内に並ぶ全国のこだわりの工芸品を眺めて待っていると、八つの器に盛られた食事が出てきた。「きょうのご飯は『青天の霹靂(へきれき)』の新米」と玉置さん。やさしい味付けの品々を堪能し、食後のコーヒーを飲みながらほかのお客らと3人でおしゃべりするうちに2時間たった。「4~5時間いる人もいる。この店では、実家に帰ってきた気分になってもらえたら」

 1153歩
菓子やソフトクリームを売っている石澤さん=地図(3)

 道路を挟んで向かい側の「いしざわ菓子店」をのぞくと、店を切り盛りする石澤享子さん(65)が「うちはソフトクリームが有名。4月中ごろから10月中ごろまで提供している」。店では贈答用などの菓子を販売するほか、今年、駄菓子コーナーも設けたところ地域の子どもたちが集まるようになった。「15~16人来ることも。宿題もやったりしている」と目を細める。来年、ソフトクリームを食べに行こうっと。

 2129歩
クッキーやラスクが人気の店を1人で切り盛りする野呂さん=地図(4)

 来た道を戻って、丁字路を右折し、国道102号バイパス方面へ。4カ所ほどの店や会社を訪ねたが、営業時間外だったり留守だったりで取材はならず。脇道に入って、李紗羅の玉置さんに教わった「クミーズクッキー」を目指した。民家の玄関先に、小さくかわいらしい店がある。中では店主の野呂久美子さん(59)が作業の真っ最中。「若いころからお菓子作りが好きで、知り合いの野菜直売所で無人販売してみたら売れたので、6年前に店を始めた」。値段も安いので4種類ほど買ったが、家族にも好評だった。

 3163歩
畳のほかに、畳縁で財布などの小物も作る比内さん=地図(5)

 最後に102号バイパスまで出て、弘前市方面へ右折。畳の縁(へり)、い草などを使い、財布や印鑑入れなどを作っている「たたみの比内」が見えてきた。2代目の比内誠さん(41)に案内され、作業場奥の事務所へ。棚に、ざっと百種類の縁がずらり。色、デザインとも多彩でびっくり。これらの縁で作られた財布などは、和風モダンな感じが面白い。「弘前市の同業者に勧められ、縁を使った小物を作り始めた。畳の良さをPRしたい」

 すてきな人に出会い、興味深い仕事に出合うことができた、約5時間の小旅行だった。