ツブ貝の苦みが生姜味噌とマッチ(at home 赤いたすき)

 朝晩冷え込む今日この頃。今夜の晩御飯はすでに決まっていますか?こんな季節、食べたくなるものは、アツアツで、じゅわっと染みたあの味がたまらない…。そう、おでん!寒い季節の代表作です。青森市には「生姜味噌おでん」というソウルフードがありますが、通常のおでんに入っていない具材がいくつか含まれています。どんな具材? どうして生姜味噌?ということで生姜味噌おでんを全国へ広める活動をしている「青森おでんの会」会長・岩田満さんに話を聞きました。

■青森といえば海!ツブ貝!!入ってます

 おでんの具といえば普通、大根、たまご、こんにゃく…などですが、生姜味噌おでんには、海の幸の「ツブ貝」が!岩田さんは「青森には陸奥湾があるので、ツブ貝が採れる。だからおでんにも入れるようになったのでは」。ツブ貝を取り扱っている「at home 赤いたすき」(青森市本町2-10-19 バッカスビル2階)では、湾内産のツブ貝を使用しているそうです。グロテスクで糸を引いている、あのツブ貝…?と不安になっている皆さん、安心してください。これがめちゃくちゃ美味しいんです!生姜味噌がツブ貝独特の臭みを消していてるにも関わらず、貝の苦みが合う!同じく陸奥湾で採れる「ホタテ」をおでんに入れているお店も。青森に来たら、どちらも試す価値ありですね!

煮込んでもシャキッとしているネマガリタケ(食酒処 なら屋)

■タケノコもおでんへIN

 さて次は、山の幸「ネマガリタケ(タケノコ)」!標準語で言うと、姫タケ?細長くシャキっとした食感が特徴のネマガリタケは、熊さんも大好物。青森出身の筆者からすると、おでんにタケノコが入っていることへ違和感がないのですが、県外の方からするとびっくりのようですね。ネマガリタケは、青森以外でも収穫できますが、「おでんにネマガリタケを入れているのは青森だけ」と岩田さん。なぜおでんに入れるようになったのかは不明のようです。「食酒処 なら屋」さん(青森市本町二丁目11-18)では、店主が自ら収穫するというこだわり。ただ、ネマガリタケは旬の時期(5~7月)のみ取り扱っているお店が多いので、食べてみたいという方は事前にお店へ確認するのが良さそうです。

出汁がよく染みた大角天は絶品(食酒処 なら屋)

■練り物も豊富「大角天」「ぼたん焼きちくわ」

 練り物にも特徴が。薩摩揚げを薄く、大きく、四角く仕上げた「大角天(だいかくてん)」。大きくて、四角くて、天ぷらのように揚げていることから、この名前が付けられたと言われています。青森にしかないおでんの具材です。岩田さんによると、「自分が小・中学生のときから、合浦公園へ行くとおでんの具として大角天が売られていた。だから、45年以上前からおでんには大角天が使われていた」と話します。さらに外せないのが、「ぼたん焼きちくわ」。「青森市にある『沼田商店』さんは今年で100周年なので、ぼたん焼きちくわは100年前からおでんに入っていたのでは」と岩田さん。普通のちくわより二回りくらい大きいのですが、つなぎがしっかりしているので煮崩れしないそうです。肉厚でこんがり焼き目が付いており、もっちりとした食感が病みつきです。

グツグツ煮込んだおでんは冬の飛びっきりのごちそうです(at home 赤いたすき)

■寒さに凍えるお客さんを温めたいという気持ちから生まれた

 生姜味噌おでんは、冬の厳しい寒さの中、青森と北海道・函館をつないでいた青函連絡船(明治41年~昭和63年)のお客様の体を温めたい…。そんな思いから、とある屋台のおかみさんが味噌に生姜をすりおろし、おでんにかけたのが始まりなのだとか。いや、待ってください。どうしておでんに味噌をかけてみようという発想になったのでしょうか? おでんは出汁でグツグツするのが普通でしょ?と思っていたのですが、おでんのルーツは焼き豆腐に味噌をつけて食べる「田楽」にあるというのが定説。時代は室町。「田楽の『でん』が残り、『おでん』になったのではないかと聞いている」と岩田さん。江戸時代には煮込んで食べるようになったといいます。さらに、青森にはそもそも味噌文化があったらしく。岩田さんは「例えばサメ。青森では昔からサメを食べる習慣があるけど、身の臭みを取るために生姜味噌をかけて食べた」と話します。

「青森おでんの会」会長の岩田満さん

 

■東北新幹線新青森駅開業が契機

 青森商工会議所のメンバーが中心となり、設立された「青森おでんの会」は、平成22年の東北新幹線新青森駅開業を見据え、昔から食べられている生姜味噌おでんを青森市のソウルフードとして売り出していこうという理由から平成17年度に青森おでんの会を立ち上げたそうです。年に一度、介護施設などでおでんを振舞う活動をしているほか、「全国ご当地おでん&地酒サミット」にも参加。これは、全国のご当地おでんを広める活動をしている人たちが一同に集まり、それぞれの地域のおでんと地酒を楽しんでもらうというイベントです。姫路や静岡で開催されていて、青森では一昨年開催されたのだとか。県外からも生姜味噌おでんは評判がいいそうですが「でも、全体的に地味なんだよな」と岩田さんは苦笑い。

青森市内で生姜味噌おでんを取り扱っているお店をピックアップした「おでんMAP」

■歌って踊れる応援歌まで!

大角天、ぼたん焼きちくわ、ネマガリタケ、ツブ貝、など特徴的でありつつ、なんといっても青森だからこそ入れることのできる具材ばかり。体を芯から温めてくれる生姜味噌もたまりません。また、おでんは寒い時期の食べ物というイメージが強いですが、「食酒処 なら屋」さんでは、夏季限定で冷やしおでんも取り扱っているなど、青森では、冬だけでなく年中食べられています。青森おでんの会では青森市内で生姜味噌おでんを取り扱っているお店をピックアップした「おでんMAP」を作成したり、「生姜味噌おでん応援歌」なんていうものも作っていたり…。まったく地味じゃないですよ、岩田さん!生姜味噌おでん応援歌はもともとジャズだったようなのですが、「これじゃあ生姜味噌おでんっぽくない」ということで、みんなで歌って踊れる曲へと変えたというこだわり。たしかにジャズは口ずさめない…(笑)。今後の「青森おでんの会」の活動からも、目が離せないですね。皆さんぜひ、生姜味噌おでんご賞味あれ!(あおトピサポーター・高田春菜)