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ブックセンターで本を選ぶ荒尾さん=地図(1)

 午後1時半、スタートは2016年12月に六日町にオープンした「八戸ブックセンター」。「本のまち」の拠点とも言える市の施設で、自然や芸術、人文、社会科学系の図書約8千冊を陳列・販売している。バスを待つ間に本を選んでいた十和田市の大学教員荒尾貞一さん(64)が、高等専門学校の教育論を紹介する「高専教育の発見」(岩波書店)を薦めてくれた。目を通してみると、中学時代に八戸市の八戸高専入学を目指していたことを思い出し、懐かしくなった。

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ブックサテライトに並ぶお気に入りの本を手に取る篠原さん=地図(2)

 ブックセンターから八戸まちなか広場マチニワを抜け、三日町交差点を直進すると、同市新美術館建設事業の活動拠点「はちのへまちなかアートラボCo部屋(コベヤ)」に到着。ブックセンターが市内6カ所に設置している「ブックサテライト」と呼ばれる小さな本棚があり、「身近なアート」がテーマの書籍約10冊が並ぶ。

 同館建設推進室の篠原英里さん(29)のお薦めは、道端で見慣れた三角コーンや道路標識などのデザインを改めて紹介する「街角図鑑」(実業之日本社)。「街を歩くのが楽しくなりますよ」

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「Demain」には田中さんが集めた200冊以上の絵本がずらり=地図(3)

 時計を見ると午後3時すぎ。再びマチニワを抜け、休憩がてら六日町のカフェ「Demain(ドゥマン)」へ。店内にはオーナーの田中京子さん(63)が30年以上かけて集めた国内外の絵本200冊以上がずらり。

 「疲れたときに読むと癒やされる」と語る田中さんに促され、本棚から「わたしはだいじなたからもの」(ほるぷ出版)を手に取った。優しい絵柄でハムスター家族の絆を描くストーリーに、心がぽかぽか。

▼2163歩
「古書 遊歩堂」の店長林さん=地図(4)

 廿六日町交差点を右折し、NHK八戸支局前の道を左に曲がると、古書店「古書 遊歩堂」を発見。県南地方の出版物を中心に約2万冊を販売している。開業7年目の店長林剛史さん(69)は「古書を知ることは地域の都市文化を知ること。図書館にない本も取り扱っており、郷土史を学ぶ上で古書店が必要な場面はある」と思いを語る。

 明治期に出版されたという八戸初のエッセー集「向鶴」(里香散士(りかさんし)著)を見せてもらった。難しい漢字だらけで内容は解読できなかったが、2羽の鶴が向かい合う表紙の図柄は、同じく2羽の鶴が描かれた八戸市章を思わせ、地域に紡がれる歴史の重みを感じた。

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恐竜図鑑を読む橙和君と母の睦美さん=地図(5)

 廿六日町交差点を右に曲がり、南西にしばらく歩くと八戸市立図書館が見えてきた。1階ベンチで読書にふけっていた稲村橙和(とわ)君(6)は無類の本好きで「一日中本を読んでいることもあります」と母・睦美さん(41)。「将来、ティラノサウルスの化石を掘り起こしたい」と夢を語る橙和君は、目を輝かせて恐竜図鑑をめくっていた。

 「読書は心を豊かにする」と言われるが、その言葉通り、本を語る人々は皆いきいきとしていた。思えば、ここ数年は忙しさにかまけ、まともに本を読んでいない。今日くらいは定時で帰って、読書の秋としゃれ込むか。