「いないいない…」と手で顔を隠して「ばあ」のタイミングで顔を見せる。小さな子どもがキャッキャッと喜ぶ。抱っこして「高い、高い」も好き。気に入った本があれば何度でも読んでもらいたがる。時には大人の忍耐を超えて繰り返しを求めてくる。

 子どもはなぜ繰り返しを喜ぶのだろうか。1月に亡くなった児童文学者の松岡享子さんが、著書「子どもと本」(岩波新書)でそう問いながら、次のように続ける。

 それは、すべてが未知のこの世に生まれた子どもにとって、一つでも知っているものに出合うことが「安心だからではないか」と。知っているものに再会する。それが知っているものだと確認する。繰り返し確認するうちに確かな知識になる。「そんなふうにして、子どもたちは、まわりの世界を自分のものにしていく、あるいは、世界のなかに、自分の居場所を見出していくのではないでしょうか」。

 不慮の事故もあれば世界では戦争もあり、子どもの安心を脅かす連日のニュースに心が痛む。3年ぶりに行動制限のない大型連休も後半に入り、きょうは「こどもの日」。せめて子どもたちが、安心して大好きな繰り返しを楽しめる日であってほしい。

 周りの大人も時には家事や仕事の手を止めて、繰り返しにつき合ってあげたい。それが子どもにとって、安心できる居場所を見つける大切な一歩だと思って。