カンボジアの障がい児教育支援に情熱を燃やす向井さん=8月、業務で一時帰国した東京都品川区の「難民を助ける会」本部で

 「教育を受けられない海外の子供たちのために力になりたい」

 NPO法人「難民を助ける会」(AAR Japan、本部・東京)のカンボジア・プノンペン事務所に駐在する向井郷美(さとみ)さん(36)は、八戸市出身。八戸高校から東京外国語大学に進み、ゼミで中国の政治を学んだ際に、冒頭の思いを強くしたという。

 「難民を助ける会」は1979年設立の認定NPO法人。「緊急支援」「障がい者支援」「地雷・不発弾対策」「感染症対策」「啓発(国際理解教育)」を活動の5本柱に、15カ国で32の支援事業を展開している。職員は約400人。向井さんは海外駐在員31人のうちの一人だ。2015年からカンボジアに駐在し、障がいのある子供が、障がいの無い子供と一緒に学べる環境を整える支援活動を行っている。

 大学卒業後は4年間、むつ市の大平中学校で英語を教えた。09年3月に退職後は日本語教員の資格を取り、中国・長春市の学校でも教壇に立った経験がある。

 「障がい児が教育を受けられない原因は一つではありません。学校の設備が整っていない。教員や周りの子供たちの受け入れ態勢がない。親も含め、地域住民が障がい児教育の重要性を理解していない。補装具や適切な治療がないなど、いろいろな要因が重なり合っているんです」と説明する。

 向井さんらは対象地域の住民と協力しながら、学校のバリアフリー化や、障がい児への理解を深めるための教員研修などを続ける。また、それぞれの障がい児に合わせた支援をするため、家を回って就学状況や必要な支援のデータも収集。ただ、活動を難しくしているのが「障がいがあるのは前世で悪いことをしたから。障がい児は学ばなくていい、学べないだろう」という現地の人々の根強い考えだという。

 それでも3年半の活動を通じ、「障がい児の教育を守るためには何が必要かということは、地域住民の間で理解が広まってきていると思う」「大切なのは、私たちが去った後も、地域の人が自分たちでやっていける形をつくること」と強調する。

 「障がいのある子の少しの変化(成長)が、親にとっては大きな喜び。そういう思いを地域に広めていきたい。障がい児は親だけの子ではなく、“地域の子”でもあることを分かってもらいたい。障がい児も地域住民の一員だという意識が根付いてほしい」