立憲民主党の泉健太代表が、夏の参院選のキャッチコピー「生活安全保障」と重点政策3本柱を打ち出した。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、現実的な外交・安全保障政策を志向する「泉カラー」を反映。中道・穏健保守層の取り込みを期待する。半面、岸田政権との対立軸がぼやける恐れもあり、党内の反応はいまひとつだ。

 3本柱は「物価高と戦う」「教育の無償化」「着実な安全保障」。泉氏は28日のラジオ番組で「緊迫した国際情勢の下、国家の安全保障に加え、国民生活の視点の安全保障も必要だ。逃げずに取り組む姿勢を示した」と狙いを強調した。

 「生活安全保障」は造語だ。生活者目線を大事にした旧民主党政権の政策の流れをくみ取るとともに、日本の外交・安保に責任を持つという泉氏の立ち位置を表現した。

 重点政策3本柱はいずれも「泉氏が強い思い入れを持つテーマ」(党幹部)。個別に見ていくと、安全保障ではサイバーなど新領域や情報戦への対処に言及。米国が「核の傘」や通常兵器で日本を防衛する「拡大抑止」の協議を充実させると明記した。防衛費は「必要な予算を積算する」とし、上限を設け枠をはめる考え方は採らなかった。

 昨秋の衆院選の政策集に入れた「安保関連法の違憲部分の廃止」は記載していない。重点政策をそのまま参院選公約にすると決まったわけではないが、現実路線への転換を掲げた形。「立民には国民の生命、財産、国の主権を守る考えが全くない」(茂木敏充自民党幹事長)といった批判への反論を意識したようだ。

 教育無償化では、財源に「教育国債」発行を挙げた。教育国債は、国民民主党が衆院選公約の柱とし、今国会に独自法案も提出している。国民の玉木雄一郎代表は立民と距離を置くが、連携の道を閉ざさないようにした泉氏の意向が透ける。

 泉氏の打ち出しに対し、立民党内の評価は割れる。「生活安全保障という言葉は印象に残る」(幹部)との声がある一方で「国民生活のことなのか外交・安保政策なのかよく分からない。どっち付かずだ」(選対経験者)との不満も漏れる。

 参院ベテランは、政府が既に物価高騰の緊急対策を決定したとして「物価高対策は争点にならない。政権と対極にある主張を訴え、立民支持層を固めるのが先ではないか」と首をひねった。