田中角栄の人柄や日中国交正常化の舞台裏について語る大下氏

 東奥情報懇談会は18日、青森市の青森国際ホテルで10月例会を開き、作家の大下英治氏(74)が「日中国交正常化45周年~生誕100年・田中角栄を語る」と題して講演した。大下氏は、田中角栄元首相の人間味あふれる政治手腕や日中国交正常化の舞台裏を豊富な人脈と現場取材に基づくさまざまな裏話を交えて語った。

 大下氏は、田中氏の人柄について「情に厚くて温かい。不思議な魅力を持った人」と説明。霞が関で見込んだ官僚を全て味方に引き入れたり、料亭で財界の要人相手に自らお酌をして情報を引き出すなど独特の政治手法も紹介した。

 日中国交正常化については、田中氏が中国の周恩来首相との交渉で、触れないことになっていた尖閣諸島の話題を持ち出して周囲をひやひやさせたエピソードを披露。さらに戦時の日中関係について、田中氏が「この前の戦争は悪かった。失敬、失敬」と発言して中国側の怒りを買うも、自らの体験として「二等兵で従軍した(日ソ両国の激戦地)ノモンハンでは、中国ではなく、ソ連に銃を向けていた」と語り、場を取りなしたことも明らかにした。

 また、大下氏は安倍晋三首相ら現代の政治家に関しても持論を展開。このうち、将来の首相候補として注目を集める小泉進次郎氏について「間違いなく総理になれる器だが、どう成長するか興味深い。自民党の中核に入ると妥協も必要になってくるので、その中でどう存在感を発揮するかが課題になる」と述べた。