「高校時代は1日10曲とか作ったことも」と振り返る飛内さん=東京・渋谷

 Aimerが歌う大ヒット曲「残響散歌」の作曲者として脚光を浴びる音楽プロデューサー&クリエーター・飛内将大さん(37)=青森県むつ市出身。常に最先端を走り続ける飛内さんのサウンドはかねてから注目されていたが、この曲で広く知られる存在となった。

 「残響散歌」が社会現象となった人気アニメの主題歌であることも大きい。しかしデジタルサウンドを駆使したみずみずしい感性を持ち味とする「飛内サウンド」は本来、多くの著名アーティストが支持。菅田将暉やJUJU、木村カエラ、YUKI、向井太一、元気ロケッツなどが飛内さんの曲を歌っている。

 「(楽曲を提供する)アーティストがたどった道、演奏してきた曲を見定め、作曲には無心で臨む」。自分の個性を無理に示そうとはしない。「結局は自分の引き出しからしか(曲の要素は)出てこない。むしろ曲作りの根底にあるのはその曲は自分が本当に聞きたい理想なのかという問い。正解かどうかは分からないが、その理想まで持っていくのが自分の曲作り」

 父と祖父は大湊ネブタなど祭り囃子(ばやし)の先生。母は保育士で、家にはオルガンがあった。「3歳ごろにはオルガンを弾き、自分でラジカセを操作して録音・再生して遊んでいた」という。小学6年で作曲し、中学でエレキギターを購入。高校では友人とセッションして「オリジナルのバンドサウンドを作っていた」。地元のライブハウスで日々演奏し、また自分で各パートを打ち込んで作ったオリジナル曲も発表していた。

 「高校の頃は作曲が最高に楽しく、仕事にしたいと思った」。川崎市の音楽大学に進学すると、感性が紡ぐ音楽に関心を向け、作曲のための時間を大切にした。やがて制作したデモテープが認められ、打ち込みや楽器演奏などを仕事としてこなすまでになった。

 「ただ、この仕事が自分の本流ではない、と違和感もあった」。クリエーターという目標に立ち返り制作したデモテープが音楽家集団「アゲハスプリングス」に評価された。飛内さんは在学中からここに所属、クリエーター&アーティストとして頭角を現した。「音楽家の卵だった僕らにとって最高におしゃれな存在だったアーティストのアルバムに、自分が音楽家として参加できた時は、どきどきと緊張、興奮で現実味がわかなかった」という。

 クリエーターとして満足いく仕事ができるまでさらに数年の苦労を重ねたが、支えとなったのは心の奥底に根を張る故郷の存在だった。「下北は僕にとって全ての元。ここで培った事が今の自分の大半を占めている」。幼いころ見た景色、耳にした音、感じたインスピレーションが自分の中心軸であり続ける。「やはり故郷はかけがえのないものなんです」

 ◇

 <とびない・まさひろ 1985年むつ市生まれ。アゲハスプリングス所属。田名部高校卒業後、洗足学園音楽大学(川崎市)に進学、在学中からクリエーター&アーティストとして活動。デジタルを駆使した最先端サウンドを多くの著名アーティストに提供。CM音楽なども多数手がける>