第71回県短歌大会

県短歌大会 中村さん(つがる)知事賞

  東奥日報社と東奥日報文化財団主催の第71回県短歌大会が27日、特別選者に歌誌「潮音」主宰の木村雅子氏を迎え、青森市のリンクステーションホール青森で開かれた。参加者約140人が特別選、宿題、席題の合計得点を競った結果、つがる市の中村雅之さん(89)が総合1位の県知事賞に輝いた。また、木村氏が「歌の魅力」と題して記念講演した。

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     中村雅之さん

  中村さんは<終点がミサイル基地の屏風山メロンロードは ただ一直線>(席題・地位)などを詠んだ。60年近くほぼ毎回参加しているという中村さんは「初めての1位。まさかとびっくりした。ありがたい」と喜びを語った。
 特別選の天位には、十和田市の佐々木せつ子さん(72)の<軽トラにチェンソーと鉈と祖母のせて山に枝うつを生業とせり>が選ばれた。

 記念講演で、特別選者の木村雅子氏は歌の魅力を引き出すポイントについて「景色や情景を生き生きと再現する歌も良いが、同時に、見えないものを見るという発想や、平凡な言葉の組み合わせによって魅力的な世界を立ち上げることも考えたい。技巧をあまり加えず、直接思いをぶつけている歌も迫力がある。自分らしい歌を模索していくことが大切」と語った。
 約80年前に弘前で結成された短歌結社「弘前潮音会」ゆかりの歌人・松木静泉(せいせん)や工藤静歌(せいか)の足跡を紹介したほか、個人的に心を引かれた歌として、古今東西の歌人たちによる20首を挙げた。このうち、寺山修司の歌「地平線縫ひ閉ぢむため針箱に姉がかくしておきし絹針」では、「寺山は自分の気持ちをそのまま歌わないが、視覚的に見える絵を描き、奥に潜むものも感じさせる印象的な歌を作る」と評した。
 また、第23回大会(1969年)に特別選者として参加した父・太田青丘(せいきゅう)に、東奥日報社から贈られた記念品の手ぬぐいを披露。「48年後に娘の私をこの大会に呼んでいただき、大変うれしく、ご縁を感じている」と話し、手ぬぐいに印刷された青丘の歌「空の碧(あお)したヽり溜まりしみづうみか登り来し人みな指ひたし」を読み上げた。

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 席題「道」の作歌に取り組む参加者

 木村氏の講演に先立ち、参加者は席題「道」(平井軍治、三川博、工藤せい子、加藤捷三の4氏共同選)の作歌に取り組んだ。
 作品講評では、宿題「水」(志村佳、野呂富枝、千田節生の3氏共同選)と「核」(林昭雄、日野口和子、木村美映の3氏共同選)、席題、特別選「雑詠」(木村雅子氏選)の入選作品が発表された。

 大会結果は次の通り。
◇総合 
(1)中村雅之(つがる)
(2)月舘玲子(八戸)
(3)藤田久美子(弘前)
(4)阿久津凍河(三沢)
(5)田村郁子(十和田)
(6)佐々木せつ子(同)
(7)竹洞早苗(青森)
(8)星野綾香(十和田)
(9)安藤トワ(六戸)
(10)山本英子(青森)
(11)三嶋じゅん子(同)
(12)梅村久子(六戸)
(13)井上健蔵(東北)
(14)澁田紀子(青森)
(15)風張景一(同)
(16)兼平一子(つがる)
(17)成田みつ(同)
(18)齊藤守(青森)
(19)佐藤ヨシミ(同)
(20)島田興三(黒石)

◇特別選 
▽天位 佐々木せつ子
▽地位 阿久津凍河
▽人位 月舘玲子