青森万水会で野村万作さんの狂言指導が行われました

地方唯一 青森万水会に50年超「青森は第二の故郷」


 人間国宝の狂言師・野村万作さん(85)は毎年青森市を訪れ、同市の狂言愛好者らでつくる「青森万水(まんすい)会」のメンバーに稽古をつけている。交流は半世紀以上に及び、地方で直接指導する団体は現在、青森万水会のみ。同市の善知鳥神社で本年度最初の稽古に臨んだ野村さんは「長年訪れている青森は第二の故郷。元気な間は指導を続けたい」と意欲を語った。 (東奥日報4月12日付夕刊より)

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青森万水会の会員に、所作の一つ一つを丁寧に指導する野村さん(左)。
熱のこもった稽古は数時間に及んだ(撮影=4月10日)



  「節が違う」「もう少し上の方を見て」─。10日午後、善知鳥神社参集殿で、人間国宝の芯の通った声が響いた。扇を持って踊る小舞(こまい)「花の袖」では、扇の動かし方や所作を細かく指導。会員と一対一で向き合い、小謡(こうたい)「貝盡(づく)し」を読み上げる稽古では「(音程が)高すぎる」「そこで(声を)切らないで」と熱を帯びた。
  野村さんと青森市の接点は、東京女子大で狂言を指導していた20代の頃にさかのぼる。教え子だった同市出身の学生から「青森でも指導を受けられないか」と相談を受けたのが、訪問指導のきっかけとなった。
  祖父の初代萬斎さんや、父の六世万蔵さんが公演などで度々本県を訪れており、野村さん自身にもなじみがあった。こうした縁が重なり、1960年に青森万水会が結成され、野村さんの指導が始まった。稽古は多い時には年5回程度にわたり、数年前から3回となった。
  現在、同会には青森市を中心に県内の50~70代の愛好者9人が所属する。会員の千葉和子さん(79)=同市=は「一般の私たちにも手抜きせず、全力で狂言を教えてくれる。でも、懇親会の場では穏やかでユーモアいっぱいの方なんです」と野村さんの気さくな人柄を明かす。
  同会代表幹事の川村倖一さん(79)は「野村さんに長年にわたって青森に通っていただき、本当にありがたく思っている。厳しく、そして優しい指導にもとても感謝している」と話した。
  野村さんは「私が指導することを応援してくれる人たちがいたおかげで、今日まで稽古を続けられている。(教え子の中には)津軽弁しか話せない人もいて、(狂言の発声を)どのように教えるか考えたりもした」と半世紀にわたる指導を振り返り「青森に来るのをいつも楽しみにしている。魚もお酒もおいしいしね」と笑顔を浮かべた。