• 2017年1月20日(金)

第11回東奥スポーツ賞

 第11回東奥スポーツ賞各賞の受賞者は4団体2個人に決まった。東奥スポーツ特別大賞を18歳以下の国内最高峰リーグ・高円宮杯U-18チャンピオンシップと全国高校選手権でそれぞれ初優勝を飾った青森山田高校サッカー部に、東奥スポーツ大賞を全日本学生選手権で15連覇を達成し全日本選手権では3年連続12回目の頂点に立った青森大学男子新体操部に贈呈。東奥スポーツ賞は全国高校総体男子団体で29年ぶり3回目の優勝を果たした三本木農業高校アーチェリー部男子、陸上競技男子円盤投げで全国高校総体と岩手国体少年男子を制し全国高校2冠を達成した弘前実業高校3年の菊池颯太さん(18)、全国高校総体の剣道女子個人で県勢として初優勝、全国高校剣道選抜大会でも同じく県勢初優勝を果たした東奥義塾高校3年の小松加奈さん(18)に贈る。東奥スポーツ功労賞は創立100周年を迎え、競技の普及・振興に尽力している黒石烏城(うじょう)ソフトテニスクラブに決まった。

東奥スポーツ特別大賞
 ▼山田高サッカー部 ― 雪も力に 全国2冠
東奥スポーツ大賞
 ▼青森大学男子新体操部 ― インカレV15 世界で躍動
東奥スポーツ賞
 ▼三農アーチェリー部男子 ― 逆転の一矢 総体頂点
 ▼円盤投げ 菊池颯太さん(弘実) ― 高校2冠 「東京」視野
 ▼剣道・小松加奈さん(東義) ― 団体、個人 日本一に
東奥スポーツ功労賞
 ▼黒石烏城ソフトテニスクラブ ― 競技振興 創立100周年

◆東奥スポーツ特別大賞

全国高校サッカー選手権決勝・対前橋育英(群馬)戦で前半46分、MF嵯峨選手(左)が2点目を決める
【写真左】選手権大会決勝の前半23分、先制点を決める青森山田の10番、MF高橋選手。5試合連続となるゴールで悲願の初優勝をけん引した
【同右】高円宮杯U-18チャンピオンシップ・対広島ユース戦のPK戦で4人目のキッカーとしてゴールを決めたGK廣末選手
山田高サッカー部 ― 雪も力に 全国2冠

 全国高校サッカー選手権大会で悲願の初優勝。Jリーグのユースを含めた高校世代が戦う最高峰・高円宮杯U-18チャンピオンシップに続く2冠という偉業を成し遂げた。

 同選手権では同校としても県勢としても2010年の準優勝がこれまでの最高。当時のチームが、柴崎岳選手(J1鹿島、野辺地町出身)、櫛引政敏選手(J2岡山、青森市出身)らスター選手を擁していただけに、今回その成績を超えたことは、見る者により鮮烈な印象を与えた。

 住永翔主将(北海道出身)の選手宣誓で始まった今大会。5試合6得点で得点王に輝いたFW鳴海彰人選手(同)、5試合連続ゴールで万能型のMF高橋壱晟選手(青森市出身)、3得点のMF嵯峨理久選手(おいらせ町出身)、守護神のGK廣末陸選手(東京都出身)らが躍動した。コートを広く使った多彩な攻撃で、5試合計20得点と圧倒的な強さを見せつけた。

 DF陣の力も大きい。橋本恭輔選手(同)と小山内慎一郎選手(弘前市出身)がゴール前を死守。長身の小山新選手(六ケ所村出身)、三国スティビアエブス選手(東京都出身)の両サイドバックが空中戦の競り合いでも優位を保った。

 高円宮杯では、プレミアリーグ東地区を初めて制し、西地区代表のサンフレッチェ広島FCユースを破った。広島戦は延長戦まで0-0の激戦の末に突入したPK戦で4-2と粘り勝ち。11年に始まった同杯で、高校勢が優勝したのは過去に一回だけ。それだけ価値あるビッグタイトル獲得だった。

 「雪国の生活がパワーになった」と黒田剛監督。ハンディを強みに変えたイレブンの気骨に、多くの県民が大きな拍手と賛辞を送った。

◆東奥スポーツ大賞

新体操全日本選手権の男子団体で3連覇を果たした青森大学男子新体操部の演技=2016年11月27日、国立代々木競技場
青森大学男子新体操部 ― インカレV15 世界で躍動

 8月の全日本学生選手権(インカレ)15連覇と、11月の全日本選手権3年連続12度目の頂点-。歴代メンバーが守り続けてきた優勝カップを、今年も堂々と持ち帰った。8月、リオデジャネイロ五輪閉会式で、次期開催地・東京をアピールするアトラクションに出演したのも記憶に新しい。大舞台で躍動した選手たちは、世界中に新体操の魅力や青森大学男子新体操部の存在をアピールした。

 インカレでは創部以来負けなし。2位に1.3ポイント差をつけて圧倒した。全日本選手権でも、息の合った美しく力強い演技で頂点に立った。

 今年の出場メンバーは身長170センチ以下の小柄な選手が多い。フロアで見劣りしないよう、移動距離を長くしたり、隊形を大きくして迫力があるように、見せ方も工夫した。中田吉光監督も「このメンバーだからこそできる演技」と成功を喜んだ。

 「オリンピックの閉会式で注目された後だったので、絶対に負けられなかった。先輩方が築いた伝統や歴史を自分たちの代で崩すのも嫌だった」と原田幹啓主将。重圧をはね返し、しっかり結果を残した。

 リオ五輪閉会式には、メンバー20人が出演し、約50人のダンサーとともに独創的な演技で会場の大観衆を魅了。隊列をつくっての連続バック転のほか、東京五輪で実施される33競技の動きをモチーフにして、歓迎の意などを表現した。

 昨年12月、三村申吾知事を表敬したメンバーは「苦手な部分を磨き上げ、レベルアップした演技で、また優勝カップを持ち帰る」と、さらなる飛躍を誓った。

◆東奥スポーツ賞

吉田選手(右)の逆転の一矢でインターハイ優勝を勝ち取った三本木農業高校アーチェリー部=2016年8月、広島市
三農アーチェリー部男子 ― 逆転の一矢 総体頂点

 昨年8月に広島市で行われた全国高校総合体育大会(インターハイ)アーチェリー競技男子団体で、29年ぶり3度目の優勝を果たした。

 メンバーは、田沢青輝さん(3年)、吉田侑雅さん(同)、天野慎太郎さん(2年)、松村昇吾さん(同)の4人。

 予選は3位で通過。決勝トーナメントは1回戦鶴岡南(山形)、準々決勝帯広三条(北海道)、準決勝八代清流(熊本)に勝利し、近大付(大阪)との決勝へと進んだ。

 吉田さん、天野さん、松村さんの3人で臨んだ決勝は延長戦にもつれこんだ。相手にリードを許したまま迎えた最後の吉田さんの順番。

 「ただ真ん中だけを狙って」(吉田さん)放った矢は、逆転の一矢(ひとや)となり、勝利を呼び込んだ。苦しい状況に追い込まれても、常に平常心を忘れないその心掛けが土壇場で生きた。

 冬場も腰の高さまで積もった雪を片付けて練習環境を整え、手足の感覚が無くなるほどの寒さの中でも、ほぼ1年中弓を引いた。豊富な練習量が大舞台で彼らを支え、目標としていた栄冠へと導いた。

全国高校総体で自己新の55メートル39を記録し、初優勝した菊池颯太さん=2016年8月、岡山県
円盤投げ 菊池颯太さん(弘実) ― 高校2冠 「東京」視野

 本格的に円盤投げに取り組んで1年足らずで全国高校2冠に輝いた。身長181センチ、体重80キロ。投てき選手としては細身だが、腕の長さと体のバネを生かし昨年8月の全国高校総体(岡山県)では大会記録まで20センチに迫る自己新の55メートル39をマークし初優勝。10月の岩手国体でも、50メートル超の一投で2位以下に大差をつけ初の頂点に立った。

 陸上を始めた平賀西中時代から高校途中までは砲丸投げがメインだった。転機は高校2年秋の和歌山国体。円盤投げで3位に入り、全国大会で初めて表彰台に立った。以降は、黒石市出身で日本歴代2位の記録を持つ畑山茂雄さんから指導を受けるなどし、「自己流で投げていた」というフォームを改善。徐々に記録を伸ばしてきた。

 全国高校2冠も「大会記録を塗り替えられなかったことは心残り。悔しさもある」と慢心はない。今春からは大学で競技を続ける。目下の目標は「2019年のユニバーシアードで結果を残すこと」。着実に進化を遂げつつある逸材は、その先に東京五輪を見据えている。

世界大会出場の目標を胸に、けいこに励む小松加奈さん
剣道・小松加奈さん(東義) ― 団体、個人 日本一に

 団体、個人で日本一を勝ち取った強さは、3年間の「剣道漬け」生活で培われた。

 宮城県石巻市出身。東奥義塾高校進学を機に、女子剣道部・伊藤敏哉監督の自宅兼寮に入った。仲間と寝食を共にし、練習に打ち込んだ日々は、他校に負けないチームの絆を築いた。

 主将として挑んだ昨年3月の全国高校剣道選抜大会は、県勢として初の団体優勝をもたらした。しかし8月のインターハイ団体ではまさかの予選敗退。「悔しかった。個人でチャンスをつかまなければ」と自分に喝を入れ、迎えた個人決勝はチームメートとの一戦。相手よりわずかに早かった面が決まり、一本勝ちで試合を決めた。

 3年間で学んだことは「感謝の気持ち」。監督や仲間はもちろん、試合に遠方から駆けつけてくれる家族に「応援に来てくれるのが当たり前じゃない」と実感した。

 春からは明治大学へ進学し、さらに剣道を究める。「世界大会に出場するため、日本を代表するような選手になりたい」と笑顔を輝かせた。

◆東奥スポーツ功労賞

創立100周年を迎えた黒石烏城ソフトテニスクラブ=2016年10月(同クラブ提供)
大正時代の烏城庭球倶楽部の選手たち。クラブはこれまで長年にわたり競技の普及に努めてきた(黒石烏城ソフトテニスクラブ提供)
黒石烏城ソフトテニスクラブ ― 競技振興 創立100周年

 毎年、黒石市内で八つの大会を主催・運営するなど、長年にわたりソフトテニス競技の普及・振興に尽力してきた。現在、10~70歳代の男女約50人が所属。冬を除いて週1~2回、有志が黒石運動公園のコートで練習に汗を流している。

 1917(大正6)年に地元名士が組織した「烏城(うじょう)庭球倶楽部」が始まり。県ソフトテニス連盟によると、県内のソフトテニスクラブで最も歴史が古い。2016年夏の県民体育大会ではクラブ会員で構成する黒石市チームが2年ぶりに優勝、創立100周年に花を添えた。

 1999年に「烏城ジュニアクラブ」を設立、中学生以下の選手育成にも力を注いでいる。2015年の世界選手権国別対抗戦で優勝した日本男子チームの船水雄太(23)、颯人(19)兄弟ら国内トップクラスの選手を輩出した。

 黒石市体育協会顧問で、黒石烏城ソフトテニスクラブ7代目会長の北山二郎さん(76)は「創立100年を迎えられたのは、先輩各位の並々ならぬ情熱と愛球心のたまもの。次の世代にしっかり伝統を受け継ぎたい」と話す。