東奥日報 東奥賞


第60回東奥賞

 東奥日報社が産業、学術、文化など各分野で活躍し、本県の発展に功績のあった人や団体に贈る第60回東奥賞が決まった。今年は七戸町立鷹山宇一記念美術館長の鷹山ひばりさん(57)=七戸町=と大間町の町おこしグループ(大間活性化委員会「やるど会」、まちおこしゲリラ「あおぞら組」、生活改善グループ「大間風=やませ=」)、つがる弘前農協とうもろこし部会に贈られる。

 鷹山さんは良質の企画展を精力的に開催し、地域の芸術・文化の向上に貢献。

 大間の町おこしグループは「大間のマグロ」を旗印に、知恵と行動力で元気の出る地域を作り上げた。

 つがる弘前農協とうもろこし部会は品質向上と作付け拡大を果たし、「嶽きみ」を地域農業の柱に育て上げた。

 贈呈式は12月1日午前11時から青森市のホテル青森で開かれる。


東奥賞
  ▽ 鷹山ひばりさん(七戸町)−七戸町立鷹山宇一記念美術館長として地域の芸術文化の向上に貢献
  ▽ 大間町の町おこしグループ(大間活性化委員会「やるど会」、まちおこしゲリラ「あおぞら組」、生活改善グループ「大間風(やませ)」)−「大間のマグロ」を旗印に、知恵と行動力で元気のでる地域を作り上げた
  ▽ つがる弘前農業協同組合とうもろこし部会(弘前市)−品質向上と作付け拡大を果たし、「嶽きみ」を地域農業の柱に育てた



■ 芸術文化発展に奔走
  鷹山 ひばりさん(七戸町・鷹山宇一記念美術館館長)

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父宇一氏の作品について語る鷹山さん=七戸町の鷹山宇一記念美術館常設展示室
 一九九九年二月、父・宇一画伯の業績を紹介する美術館の館長に就任。絵画、アニメ、挿絵、写真などさまざまなジャンルの企画展を精力的に開催し、小さな町の美術館の名を県内外に発信してきた。東奥賞は九八年特別賞の宇一画伯と親子二代での受賞。「父の実績と私がやってきたことは量と質が全然違う。(受賞は)気恥ずかしい」とはにかみながらも、「スタッフに支えられて今の自分がある。これからもお客さまありきの美術館を目指していきたい」と力強く語る。

 館長に就任する前は二十年間、二科会事務局に在籍し、各種展覧会の運営に携わった。館長になってからはその人脈を生かし、東郷青児や平山郁夫など日本美術界の重鎮から手塚治虫や藤子・F・不二雄など人気漫画家まで型にとらわれない企画展を展開してきた。「魅力ある企画展を開くことでたくさんのお客さまに来場してもらい、さらに父の作品を知ってもらうことができる」と信念を語る。

 館長職の傍ら「県生涯学習審議会副会長」、「県『命を大切にする心を育む』派遣講師」など十数の公職を兼務し、毎週のように会議に出席する日々。県内の成人式や教育関係会議などでの講演活動は通算二百回を超えた。

 「確かにいろんな仕事をしているけど、特に忙しいと思ったことはない」ときっぱり。「四十歳を過ぎてようやく子どもを授かったときは、もう言葉にならないぐらい感動した。その感動から出たおつりの分だけ社会貢献をしようと思っているだけなの」と控えめだ。

 来年は、宇一画伯生誕百周年の節目の年。記念の企画展を半年ほどかけて開催する。ますます多忙になりそうだが、「父の作品を紹介する美術館の責任者として今もプレッシャーはあるが、初心を忘れずに忠実に物事を進めたい」と意欲的だ。

 二〇一〇年度には美術館の北側に東北新幹線七戸駅(仮称)が開業する予定で、駅前の核施設として期待が高まる。小さな町の美術館の頼もしい館長はこれからも大きな夢を描き続けるだろう。

写真 ◎情熱・パワーある人(平山 助成さん=平山郁夫美術館館長)

 鷹山館長は、子育てをしながら多忙な館長職をこなす、情熱とパワーにあふれた人。都市部ではない場所にありながら、父・鷹山宇一画伯の功績を発信する“まちの美術館”として地域文化の中核施設に育て上げた功績は大きいと思います。美術館以外の分野の文化活動にも積極的に参加する姿も印象的で、その行動力に感心します。

 平山郁夫は日本画家、鷹山宇一は洋画家と互いのジャンルは異なりますが、どちらの作品も美しい点で同一。美しい作品を通じて次世代を担う子どもたちに美の感性を磨いてもらい、郷土の基礎をつくることがわれわれの使命だと考えます。

 美術館の近くには新幹線駅もできると聞いていますので受賞を励みにますます頑張ってもらい、青森県の核となる美術館を目指してください。



■ マグロ旗印 観光開発
  大間町の町おこしグループ

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超マグロ祭で、ツアー参加者(右側)を大漁旗で送り出す「あおぞら組」
 十月、旬の大間マグロを求める客が漁港を埋める「朝やけ夕やけ横やけ〜大間超マグロ祭り」。十数本のクロマグロが豪快に解体され、静かな漁師町は、にぎやかな観光地へ変ぼうする。

 主催者の「やるど会」会長・田村将導さんは「地元で大間マグロを食べたいという観光客の要望が多かった」と回想する。二〇〇一年、有志の勉強会を、実行を意味する「やるど会」へ改称、企画実施に本腰を入れた。

 「客が減る秋口に、脂の乗ったマグロを食べられるイベントが狙いだった」。町や漁協、商工会が協力し〇一年に第一回を開催。今や全国から客を集める名物イベントに成長した。「この祭りは非常にリピーターが多い。それだけ満足している方が多いと思いますね」と胸を張った。

 〇〇年、二十−三十代の若者が結成した、まちおこしゲリラ「あおぞら組」。「理屈こねる前にまんず動け」などを原則とし、フェリーの乗客に向け大漁旗をひたすら振るウエルカム活動、「マグロ一筋」Tシャツ普及活動、日本列島にマグロのぼりを広める計画など耳目を集める活動を「ぶっかまして」きた。

 組長の島康子さんは「初めは周囲の視線は冷ややかだった。今は『おめど、次何やるの』と期待される。みんな喜んでいるようです」と笑い「泳ぎ続けなければマグロは死ぬ。あおぞら組も、ずっとゲリラを続けますよ」。ホームページ「なまなま大間通信」では大間なまりで情報発信する。

 生活改善グループ「大間風(やませ)」は一般の主婦数人が昨年に結成した。大間の海や漁師をモチーフにしたTシャツ、帽子のほか、ヒバ材を利用したマグロ型のお守りなど、手作りのぬくもりあるオリジナルグッズを販売、好評を得た。

 今年五月からは、大間漁協でのチャレンジショップ「浜のチャレンジ市」にも参加、店頭での販売のほか、漁港を案内するなど観光客をもてなす。会長の蛯子良子さんは「遠くから大間に来た方と交流できるのが何よりうれしい。主婦の視点で大間をPRしていきたい」と抱負を語った。

写真 ◎皆さんヨグヤッタ(金澤 満春さん=大間町長)

 やるど会、あおぞら組、大間風の皆さん、おめでとうございます。大きな喜びと、誇りを感じています。

 皆さんの素晴らしさは、自分たちができることを考え、自ら行動することで、地域の人たちの賛同を得ていくところです。さらには町を訪れる方々を心からもてなし共に喜びを実感することを実践していることです。そして、何よりも「やってあげている」というおごりがないこと、「良かったらいかがですか」という謙虚な姿勢が好感を得ているものと思います。

 これからも、さわやかな青空のように、「やるど」という熱き心を持ち、厳しさの中にも心地よい大間の風であり続けてください。皆さんこそがマグロを超える大間ブランドです。ヨグヤッタ、これからも一緒にガンバベシ!



■ 「嶽きみ」ブランド化
  つがる弘前農協とうもろこし部会(弘前市)

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】地域ブランドとして商標登録された「嶽きみ」の魅力アップを目指す「つがる弘前農協とうもろこし部会」のメンバー(右端が鈴木部会長)
 岩木山ろくの秋の味覚として、全国に知られる「嶽きみ」。シーズンともなれば各地へ発送され、弘前市岩木地区の沿道に並ぶ直売所は、ゆでたてのトウモロコシの甘い香りに誘われた行楽客で大にぎわいとなる。しかし「嶽きみ」が今日の地歩を築くまでには、荒野の開拓に挑んだ入植者たちの苦難の歴史があった。

 「嶽きみ」の育ての親ともいえる「つがる弘前農協とうもろこし部会」(鈴木健・部会長)の成り立ちは、一九四九(昭和二十四)年にさかのぼる。

 終戦後、サハリン(樺太)から引き揚げてきた鈴木さんの父の故・春雄さんら十三戸が、岩木山ろくの瑞穂地区で、原野の開墾に着手した。

 しかし、標高四〇〇−五〇〇メートルの高原は農業用水に乏しく、土壌も耕作に不向きだった。「伐採した木の根を掘り起こす家畜も人手もなく、切り株の間に大豆や麦を植えた。生活は苦しかった」と鈴木さんは振り返る。

 打開策の一つとして取り組んだのがトウモロコシ。鈴木さん方で始めた六〇年ごろは十アールほどの畑だったが、昼夜の寒暖差が大きい高原の気候が食味に幸いし、栽培農家が増えた。同じころ導入した酪農は、乳価低迷で断念を迫られたが、甘みに優れた「嶽きみ」は、岩木山を訪れる行楽客の評判となった。八七年には、瑞穂以外の農家も加わり、旧岩木町農協(現つがる弘前農協)とうもろこし部会が発足。農協を通じた首都圏への出荷ルートができ、九千万円規模(二〇〇〇年ごろ)の販売額を達成した。

 県内の多くの開拓集落が姿を消す中で、瑞穂地区では今も六戸が農業を続けている。部会には現在十八人が加盟し、畑は合わせて百五十ヘクタールに拡大。「嶽きみ」は今年、地域ブランドとして商標登録された。

 「安値に泣いた年もあったが、観光と結び付いた農業だから生き残れた。お母ちゃんたちが元気で、後継者もいる。それが強み」と鈴木さん。部会では毎年、新品種の栽培試験を繰り返す。よりおいしい「嶽きみ」づくりへ、挑戦は続く。

写真 ◎本番前の元気の源(麻生 詩織さん=歌手)

 生まれたときから「きみ」が好きだった私ですが、十年ほど前にファンの方から「嶽(だけ)きみ」を贈られて以来、大ファンになりました。

 嶽きみは、かんだ瞬間、口いっぱいに広がる濃厚な甘みと、鮮やかな黄色の引き締まった粒が生み出す食感が、何よりの魅力。歌のステージに立つ前にも欠かせない、まさに私の“元気の源”になっています。ここ数年は、自分でも岩木山ろくに足を延ばして買い求めているくらいで、リンゴと並んで、ふるさとを思い出させてくれる大事な味覚です。

 嶽きみは本県を代表する秋の味覚として、全国にもっと広まっていっていい食材です。私も行く先々でPRを続けて応援しますので、どうぞ生産者の皆さん、これからもおいしい嶽きみを作り続けてください。




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